研究課題/領域番号 |
62870010
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大塚 正徳 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (60013801)
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研究分担者 |
矢内原 昇 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (80046250)
斉藤 公司 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (20002082)
柳澤 光彦 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (90159252)
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キーワード | サブスタンスP / ニューロキニンA / 摘出脊髄標本 / スパンタイド / セプタイド / NKー1型受容体 / 脊髄運動ニューロン |
研究概要 |
サブスタンスP(SP)およびニューロキニンA(NKA)は一次知覚ニューロンの中でも細径のC線維中に存在し、刺激に応じて放出され、後角のニューロンに時間経過の遅い電位変化をひきおこすことが知られている。われわれは新生ラットの摘出脊髄、摘出脊髄・伏在神経標本、摘出脊髄・尾標本などを用い、SPによる前根の脱分極、伏在神経により誘発されるC線維反射、あるいは尾にカプサイシンを適用することによって誘発される侵害反射電位がタキキニン拮抗薬であるスパンタイドにより抑制されることを見い出し、痛みの伝達にSPおよびNKAが関与していることを示唆した。しかし、WienrichらによりスパンタイドがSPの作用をむしろ増強するという成績が報告され、タキキニン拮抗薬としてのスパンタイドに疑がかけられた。そこでわれわれはスパンタイドの薬理学的性質を再検討するため、Wienrichらの方法に従い、灌流液にテトロドトキシン(TTX)を加え、シナプス伝達を遮断した条件下で実験を行なった。新生ラットの脊髄を灌流槽に固定し、灌流系にSP(0.01〜10μM)、NKA(0.01〜10μM)、およびNKー1型受容体のアゴニストであるセプタイド(0.01〜10μM)などを30秒間適用したところ前根から用量依存性の脱分極(1〜4mV)が細胞外吸引電極を介して記録された。NKAおよびセプタイドによる前根脱分極はスパンタイド(1〜2μM)により競合拮抗的に抑制され、そのPA_2は約300nMと算定された。次にSPに対するスパンタイド(4〜16μM)の作用を検討したところ、低濃度(1μM以下)のSPの作用を抑制するが、高濃度(1〜10μM)のSPの作用に対しては無効あるいはむしろ増強する結果が得られた。NKB、ボンベシンもTTX下に前根の脱分極をひき起したが、TTX適用前にくらべて極めて小さい反応(0.1〜0.5mV)であった。以上の結果からスパンタイドは脊髄運動ニューロン上で従来のNKー1、NKー2、あるいはNKー3型とは異った受容体にも作用することが示唆された。
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