研究課題/領域番号 |
62870016
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
勝沼 信彦 酵素科学研究センター, 酵素化学部門, 教授 (50035375)
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研究分担者 |
木戸 博 酵素科学研究センター, 酵素化学部門, 助手 (50144978)
向井 純一郎 九州大学, 農学部・農芸化学教室, 助教授 (70038199)
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キーワード | グルココルチコイド / リンパ性白血病 / 増強物質 / EGF / シュードウリジン / ジアシールグリセリド / プロテインキナーゼCの阻害剤 |
研究概要 |
我々はグルココルチコイド(GC)作用増強物質として、GCに対する細胞の感受性を増強するGlucocorticoid Sensitivity Amplifier(GSA)とGCの示す最大効果を標的細胞でさらに増幅させるGlucocorticoid Potency Amplifier(GPA)の二種の物質群を見出してきた。GSAはPesudouridinyl-N-oleoyl-phosphamateと構造決定されている。本物質の化学合成を研究目的として推進してきたが、62年度にPseudouridine 5′-phosphateの酵素学的大量合成法を確立し、63年度にOleamideとの縮号法の検討を行ってきた。しかし本化合物の縮合反応は従来報告されているいずれの方法でも困難で、いまだ成功していない。なお新たに合成したPsendouridine 3、5′ cvclic nucleotideには、GSA作用もGPA作用も認められなかった。現在さらに酵素学的縮合法を検討している。一方GPA物質はいずれもプロテインキナーゼCの活性化物質群で、逆にプロテインキナーゼCの阻害剤のHー7は、GC作用を強く阻止することを明らかにしてきた。63年度に行ったHー7の作用機序に関する研究結果よりHー7は、細胞質画分におけるGCレセプターと熱ショック蛋白(HSPー90)の解離を抑制し、GCレセプターの活性化が抑制されることが明らかとなった。その結果GCレセプターの細胞質画分からの核への移行が抑制され、GC作用の発現が阻止された。以上のことから、プロテインキナーゼCがGCレセプターの活性化と核への移行に不可欠であることが推定される。 以上の結果より、GC耐性白血病細胞や種々のGC不応症の中に、プロテインキナーゼCによるGCレセプターの活性化の阻害が考えられ、GC耐性リンパ性白血病細胞株をプロテインキナーゼCを指標にスクリーニングしている。また従来用いられてきた抗白血病治療薬と、GSA、GPAの併用によるリンパ性白血病の治療法をL517OY、L1210リンパ性白血病細胞を用いて検当している。
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