病院給食に於ける栄養計算には従来病院給食用荷重平均食品成分の値を用いて計算するが、近年食生活の変化により病院給食の献立も変化し、現在使用されている荷重平均食品成分表は必ずしも現状に即してはいない。そこで十一病院における四季を通じた一年間の全献立をもとに新しく病院給食用食品類別荷重平均栄養成分表を作成、実用化した。本食品類別荷重平均栄養成分表により算出された各種栄養量は日本食品標準成分表にもとずいて個々の食品別に算出した各種栄養量と良く一致した。 各種疾患の治療に際し、その効果をあげるのに最も重要な事柄は患者本人の栄養状態であることは言うに及ばないが、実際には正しく管理されていないのが実態である。なかでも入院患者は食事以外にも人工的栄養補給が行われている場合が多く、患者の栄養必要量、食事から実際に摂取した各種栄養素摂取量、人工的補給栄養量、時には治療薬としての投薬により付加されている栄養素などを正しく把握することが先ず必要となる。しかし、大変繁雑な作業を伴うため、現場に於ては必ずしも適正な栄養管理はなされていない。このような現場で簡便に使用できる入院患者用栄養管理プログラムの作成を試みた。使用機種はNEC9800シリーズ、メモリーは384KB以上、プログラムBASICで作成し、コンパイルした。栄養計算用データベースとして先に作成した病院給食用39項目の食品類別荷重平均栄養成分表を用いた。実際には以下のごとき手順で実施する。 (1)患者が残食を加味した実際に摂取した食事量から各種栄養素摂取量を算出。 (2)性別、年齢、身長等の個人情報と日本人栄養所要量から各個人の栄養必要量の算出。 (3)患者本人の摂取栄養量の過不足量の計算。 (4)最後に人工的に輸液補給するべき各種栄養量を算出させる。
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