研究課題/領域番号 |
62870026
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
桜井 治彦 慶應義塾大学, 医学部衛生学公衆衛生学教室, 教授 (70051357)
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研究分担者 |
富田 豊 慶應義塾大学, 理工学部計測工学科, 専任講師 (50112694)
大前 和幸 慶應義塾大学, 医学部衛生学公衆衛生学教室, 専任講師 (60118924)
東 敏昭 慶應義塾大学, 医学部衛生学公衆衛生学教室, 専任講師 (10119000)
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キーワード | 個人曝露測定機 / 有機溶暇センサ / 呼吸量 / 心拍 |
研究概要 |
我々の2年間の本研究の主たる目的は作業中の呼吸量を考慮に入れた気中有害物質曝露測定機を開発することであった。初年度の研究により、システムの本体とも言えるデータロガーの小型化及び機能性の向上と、心拍数からの呼吸量予測方法の決定を行なった。本年度は主として実用性、有用性の検討を行なった。本システムの特長として、連続測定という点と呼吸量の考慮が挙げられるが、この有用性を確めるため、先ず、(1)実際の作業において呼吸量の変動がどの程度あるのか、(2)有機溶剤曝露作業場、鉛粉塵曝露作業場において、それぞれの気中濃度がどの程度変動するか、という2点について調査を行なった。この結果、比較的労働量が作業中一定と思われる自動化の進んだ製造工場作業者においても、作業時間中の呼吸量変動は数百パーセントにも及んだ。また、有機溶剤曝露作業場、鉛粉塵曝露作業場の各物質の濃度変動も大きく、特に有機溶剤の場合は或る時間に大きなピークを持つような場合がかなり見られた。これらの結果より、連続的に、しかも呼吸量をも同時に気中濃度を測定することが曝露評価にとって重要であることが示唆された。次に、現行の測定法との比較検討を行なった。特に生物学的モニタリング値との比較検討に主眼を置き、これにより取り込み量が呼吸量によって大きく規定されることを確めようと試みた。その過程において、有機溶剤センサの見直し、完成を目指し、各種有機溶剤の検知、定量が可能な薄膜式半導体式の有機溶剤センサを完成させた。これを用いトルエンの実験的曝露を行ない、生物学的モニタリング値と本システム測定値との比較を行なった。その結果、生物学的モニタリング値にバラツキは見られたものの、両者の間には高い相関があり、本システムが作業中の気中有害物質の取り込み量を良く表わしているものと考えられた。
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