研究課題
試験研究
本研究は、超音波周波数分析及び近赤外スペクトル分析の両法によるモニタリングのもとに深部臓器癌のハイパーサーミア加温による非外科的治療を安全かつ効果的に行える機器を試作することにある。高周波型のハイパーサーミア器を導入し、熱電対による深部温度の計測を行いつつ、40-44度に加温するシステムと光ファイバーで任意の部位の近赤外域の分光分析を行う機器の製作、及び肝組織構築の変化及び肝癌の存在を超音波周波数解析装置の製作を行い、これらを組み合せ用いた。近赤外分光光度計は900nmまでの波長を分光分析し、微弱光用にスペクトルを蓄積、加減算等により目的臓器の分光分析を行った。これは腹壁を差し引いた肝臓等の分光分析により局所の酸素化の推測・局所の非侵襲的機能診断に有用と考えられた。また、ケプストラム解析は肝臓を超音波の微小散乱体の集合体とし、散乱体間距離を超音波後方散乱の周波数解析に基ずいたケプストラムより算出したが、肝硬変に肝癌が合併している場合に、その平均的散乱体距離の分布が癌部では広がりを示すことが判明し、これは肝癌構築の不均一性のためと考えられ、ケプストラム解析により肝癌の存在診断が可能であることが示唆された。犬家兎の肝、脾などの臓器におけるハイパーサーミア器による加温、組織壊死と近赤外分光スペクトル分析及び超音波周波数分析結果との基礎的関係を調べた結果、正常組織では加温により血流の増大がほぼ均一に生じるのに対し、障害肝などはその増大が不均一で、局所の酸素化が低下する部位が出現し、その結果、肝小葉構築異常をきたすと超音波周波数分析により客観的評価が可能となることが判明した。これらの組み合せにより今後、非手術癌治療がより安全確実に施行できると考えられた。
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