研究課題/領域番号 |
62870034
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清水 輝夫 東京大学, 医学部, 講師 (00107666)
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研究分担者 |
萬年 徹 東京大学, 医学部, 教授 (10010208)
井上 聖啓 東京大学, 医学部, 講師 (80107664)
楠 進 東京大学, 医学部, 助手 (90195438)
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キーワード | 末梢神経 / 機能分別マーカー / モノクローン抗体 / 糖鎖成分 |
研究概要 |
1.我々は従来より、筋蛋白・神経系細胞骨格成分に対するモノクローン抗体を作製してきているので、これらを末梢神経系に応用してみた。抗ミオシン・抗アクチン・抗αーアクチニン・抗トロポミオシン・抗トロポニンT・抗コネクチン・抗ジストロフィン・抗ネブリン・抗ビメンチン・抗デスミンなどの抗筋蛋白抗体と、抗ニューロフィラメントH・抗キネシン・抗MAPS・抗チューブリンなどの抗細胞骨格抗体では末梢神経、交感神経節、後根神経節の細胞体や神経線維の分別は成功しなかった。この過程で2つの予想外の知見がみつかった。1)筋蛋白のうちミオシンフィラメントとZ帯をむすぶ巨大蛋白コネクチンと神経軸索内のニューロフィラメントのHサブユニットとが免疫学的ホモロジーをもっていた。これは抗体SMI-36ー2であるが、コネクチンのもっている弾性特性部分を認識する抗体であることが判明しニューロフィラメントHにも同様な弾性特性が存在していると推測された。2)トロポニンTとニューロフィラメントHの間にも交叉反応がみとめられた。従って何らかのCa^<2+>調整をうけているのではないかと推測され、ニューロフィラメントHの新しい性質が示唆された。2.ミエリン分画を抗原として抗体作製を試みた所糖脂質成分に対する抗体がえられたが神経系の分別はあまり可能ではなかった。分別の可能だったのは抗フコシルGM_1抗体で後根神経節細胞のうち小細胞だけが染色されたことだけであった。この点は今後小細胞の機能解明によりよいマーカーとなることが予想される。又大細胞はニューロフィラメントが多く小細胞には少ない点も判明した。3.臨床的観察から運動神経ニューロパチーや知覚神経ニューロパチーではしばしば特異的糖鎖に対する抗体がみつかるので、今後、GM_1、GD1_bといった糖鎖成分に対してモノクローン抗体を作製し末梢神経分別マーカーを確立したい。
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