はじめに:前年度に検討した放射線センサーの基礎資料をもとに、診断領域の放射線従事者用カード型放射線被曝線量計の原型を試作した。 線量計構成:1.シリコンフォトダイオードをセンサーとした前置増幅器 2.データ蓄積回路 3.データ解析および線量当量に換算するためのコンピュータ 方法:シリコンフォトダイオードを組み込んだ前置増幅器の信号をプリント基盤で製作したデータ蓄積回路に、20〜200KeVの放射線エネルギーを32に区分して収集し、任置の時間後にコンピュータにその情報を回収した。回収後センサーの放射線エネルギ感度に従って、コンピュータソフトで感度補正を行い、そのエネルギーフルエンスから線量当量に換算した。 結果:線量当量に換算した結果は、Ge検出器を使用して波高分析器で収集し、計算で求めた線量当量と大差がなかった。また、温度依存性および方向依存性は、満足できる結果であった。しかし、高線量率領域でスペクトル分解能が低下した。 まとめ:診断領域の放射線従事者の被曝線量測定器として使用可能であると考えられた。カード型線量計の原型を作製しただけであり、このままポケットに入れて使用するには厚みが厚すぎる(18mm)と考えられた。今後、センサー部分とデータ集積部分を一体化して製作すれば充分実用になるものと考えている。
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