初年度に基本的なカ-ド型線量計の完成のための設計にもとづき、プリアンプ回路を設計作成した。このアンプにシリコンフォトダイオ-ドを接続して放射線のエネルギ-スペクトルを得た。設備として購入したpure Ge放射線検出器によるエネルギ-スペクトルと比較し、ダイオ-ドのエネルギ-特性を検討した。シリコンフォトダイオ-ドの放射線のエネルギ-分解能は、理想的な状態ではAmー241の59.5keVγ線で2〜3keVであった。ここで使用したプリアンプはシリコンダイオ-ド専用のもので、消費電流が1mAと大きい欠点をもっていた。また感度は約1.5×10^<ー3>/mm^2であった。 次年度には、計測したエネルギ-範囲を16区画に任意の範囲に分割してIC RAMに蓄積する回路を設計し・作製した。また、IC RAMに蓄積したデ-タをコンピュ-タに読みだす回路の設計、作製およびそのプログラムを開発した。エネルギ-範囲を調整できるようにした理由は、使用環境で測定するエネルギ-範囲が異なるためである。また経時的にも被曝情報が収集できるようにした。このことは被曝したときの状況を振り返る際、有効であった。最終年度にシリコンフォトダイオ-ドおよびプリアンプと次年度に作成したIC RAMを結合した。装置全体の消費電流が大きいため、電源である電池を小型化することが困難であった。電池の体積は、線量計の総体積の約1/10をしめ、当初予定した7mm厚程度の線量計から、15mm厚の総量計に設計変更を余儀なくされた。放射線を測定したデ-タのエネルギ-校正および実用便宜量である線量当量を計算するためにプログラムを開発し、線量計を完成した。 この線量計は、カ-ド型線量計の開発に貢献できると推察される。
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