研究課題/領域番号 |
62870049
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
水戸 廸郎 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60000981)
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研究分担者 |
山本 哲 旭川医科大学, 医学部, 助手 (50125415)
浅川 全一 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80125393)
葛西 眞一 旭川医科大学, 医学部, 講師 (40091566)
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キーワード | 遊離肝細胞 / マイクロカプセル / コラゲナーゼ消化法 / アルギン酸カルシウムゲル / 肝不全 / 人工肝臓 |
研究概要 |
肝臓は、極めて複雑多岐にわたる機能を営んでいる臓器である。したがって、ひとたび重篤な機能不全に至れば、その予後は不良である。今日臨床的に急性肝不全の治療に用いられている方法には、活性炭やイオン交換樹脂などの吸着剤血液灌流、分画分子量の大きな膜を用いた血液透析・濾過法、血漿交換療法、動物の摘出肝体外灌流法などがある。これらの最近の成績をみると、意識の覚醒率は良好なるも、その救命率は約30%といったところであり、最近限られた施設で行なわれている肝移植による救命率60%には及ばない。そこで、肝臓の代謝機能をも付加した方法、すなわち生物学的人工肝臓の研究が進められている。この場合、代謝のリアクターとして遊離肝細胞を利用する方法が一般的である、本システムで重要なことは、肝細胞の機能をできるだけ長時間維持することである。われわれはそのひとつとして、アルギン酸カルシウムゲルに被包化する方法を研究しており、そこで本研究では大量の肝細胞を自動的に処理するシステムの開発を意図した。 装置は、アルギン酸ナトリウムと肝細胞を混合し、これをCaCl_2のゲル化槽へ注入することを基本とする。本年度は、アルギン酸ナトリウムの濃度、CaCl_2の濃度、装置の混合槽内の圧力、ノズル周りの空気流量とノズルよりの混合液排出量などの諸変量を制御することによって、最も至適かつ実用的な条件を選定することを研究の主眼とした。その結果、アルギン酸ナトリウムの最終濃度は0.25〜0.5%、CaCl_2の濃度は0.1〜0.25モル、混合槽内圧は0.5アトム、空気流量は6l/min、調節ネジ回転数は2.5〜5、ノズルとCaCl_2の間幅は3cmが至適条件であり、この際の混合液処理量は10〜30ml/分、ビーズ径は、1〜2mmとなった。代謝能のin-vitroテストでは、アンモニア処理量は培養細胞よりも良好であり、十分実用に供し得ると考えられた。
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