| 研究概要 |
1.XeFエキシマレ-ザ-の照射実験:前年度までのXeClエキシマレ-ザ-およびKrFエキシマレ-ザ-を用いた実験に続き、今年度は波長が350nmと3種のエキシマレ-ザ-の中では最も長く石英ファイバ-の伝達性が良好と思われるXeFエキシマレ-ザ-(浜松フォトニクスC-3228、使用ガス:Xe,F,He)を用いて照射実験を行なった。石英ファイバ-は三菱電線製ST-U1000F-SYを使用した。(1)伝達度・減衰率測定:レ-ザ-出射口から4mmのアパ-チャ-を経てファイバ-に入射できたパワ-7.6mJ/pulseに対してファイバ-先端出力は4.3mJ/pulseであり伝達度は57%、また20分間の連続照射での出力の減衰率は21%を示した。この値はKrFエキシマレ-ザ-の22%・50%、XeClエキシマレ-ザ-の37%・36%に比べ、3種の中では最も良好な値であった。(2)動脈壁に対する照射効果:イヌ大動脈壁を用いて石英ファイバ-下でのXeFエキシマレ-ザ-照射(先端出力4.3mJ/pulse.30秒〜5分間、距離3mm)の血管壁に与える効果を調べた。照射により血管中膜に達するレ-ザ-孔が形成される一方で照射野周辺には広範な熱凝固層が生じ、エキシマレ-ザ-の特徴である熱的損傷のない組織破壊効果は得られなかった。しかしファイバ-先端を動脈壁に接触させて照射する接触照射法により熱的損傷の範囲を軽減させることができ、この接触照射法はエキシマレ-ザ-においても有効な方法であることが示唆された。
2.臨床応用に対する今後の見通しと試み:現有の発振装置と石英ファイバ-ではいずれのエキシマレ-ザ-を用いても組織を破壊するに十分な先端出力は得られず、このままでは臨床応用は難しいと考えられる。石英ファイバ-の改良が困難であることを考慮して、今後はXeClエキシマレ-ザ-を用いたロングパルス発振によって現在よりも大きなエネルギ-を入射して現有の石英ファイバ-による臨床応用を試みる予定としている。
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