研究課題
本年度は昨年度までに引き続きポリウレタン弁の動物実験による評価を行ない、以下の点が明らかとなった。1.ポリウレタン弁の基礎特性本実験を通じて、ポリウレタン弁を使用した補助心臓は、従来のディスク弁使用時と比べ、同一バイパス量を得るために駆動圧、拡張期陰圧をそれぞれ10%程度大きな値を必要とした。しかし、所望の流量を得ることが可能で、しかも最長約2ケ月の連続的使用に対しても弁破損例などはみられなかった。このように、ポリウレタン弁の水力学的特性、耐久性はinーvitro実験と同様、慢性動物実験においても満足できるものであることが解った。2.ポリウレタン弁の抗血栓性しかし、抗血栓性に関しては、未だ血栓の生じる例が多数存在する。血栓発生の最大の理由は人工材料表面に対する血流の流れ(Washout)が十分でないことが考えられる。事実、inーvitroの実験中に三枚の弁葉の同時開放、閉鎖がみられない場合が多かった。これは弁の製作工程において、三弁の弁葉肉厚、特にコンディットとの接合部付近の肉厚が微妙に異なることが、三弁それぞれの弁抵抗の差となってあらわれるため、このような現象が生じている。製作方法の改良ももちろんのことであるが、今後の方針として、以下の課題の解決が重要と考えられた。即ち、I)より高度な解析に基づく適性弁葉形状の決定II)十分なWashoutが得られるコンデュイット形状の決定、III)血栓好発部位の血液接触表面性状の改良、等が考えられる。である。
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