研究課題
1.放射線組織内照射サル11頭を用いて、密封小線源による正常脳組織の放射線障害について検討した。3カ月後の組織学的検索では、Irー192seed刺入部の周囲に500ー700Gy以上の領域でnecrotic zoneが認められ、その面積はdose dependentであった。300Gy以下の領域は明らかな異常所見は認められなかった。また、3カ月後までのCT、MRIでの観察では、necrotic zone周囲のedemaは、2週間から1カ月後が強く、その後やや縮小するものの3カ月後も続いていた。64年度は、組織学的な検索を更に6カ月後まで経時的に行なう予定である。2.臨床応用1)昨年度に引続き、放射線組織内照射の臨床応用を悪性グリオーマ7例、転移性脳腫瘍1例、頭蓋底部の脊索腫1例の計9例に対し施行した。腫瘍周辺部の総線量が12ー55GyになるようIr-192seedを1から6本のカテーテルを用い約1週間腫瘍内に留置した。いずれも腫瘍縮小や腫瘍周囲の脳浮腫の軽減が認められ、有効だと判断された。2)また、アンテナ冷却システムを用いた組織内加温療法の臨床応用を悪性グリオーマ3例に対し施行した(うち2例は、放射線組織内照射と併用した)。マイクロウェーブアンテナを腫瘍内に1ないし2本刺入し、腫瘍辺縁部を42℃になるように30分から1時間の加温を1週間に2ないし3回行なった。加温後のCTスキャンにて、加温部に一致する低吸収域と、腫瘍周囲の脳浮腫の著明な減少を認めた。42℃以上の加温で強い抗腫瘍効果を示すことが確認された。これらの治療法の詳細な評価は現在検討中である。
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