レーザの超マイクロビームを培養細胞に照射する場合、超マイクロビームを移動させて照射する機構と標的である培養細胞を含むチャンバースライドを移動させる機構とが考えられたが、昭和62年度までにおこなった研究成果をふまえて、対物レンズで集束したレーザの超マイクロビームを固定しておき、標的となる培養細胞を含むチャンバースライドを載せたステージを動かす方式を採用した。基本的には、レーザの超マイクロビームを対物レンズによって集束・固定し、標的となる培養細胞を含む培養スライドチャンバーを高精度ステージでXY方向に微動走査(スキャン)させることにより、培養細胞の全体あるいは細胞内小器官等の任意の部分にレーザの超マイクロビームを照射することとした。照射前後の培養細胞の動態は「レーザ・マニプレータを組込んだ細胞工学用顕微鏡」に装備されているコマ撮りVTR装置によって観察記録することができ、必要に応じて細胞を回収・固定して組織化学的あるいは超微形態学的な観察を行うことにより、レーザの生体組織に対する生物学的効果の作用機序として考えられている熱の作用、圧力の作用、光の作用、光化学的作用あるいは電磁界の作用等について詳細に研究することを可能ならしめることができる。XY微動スキャンニングステージは、圧電素子モーターを採用することにより、位置再現精度が高く、目標の細胞あるいはその一部分に対し、レーザの超マイクロビームを正確にスキャン照射させることができる。また、同じ目標に必要に応じて何回でも繰り返してスキャン照射を行うことが可能となるようにした。スキャンニングエリアの選定は、TVモニター上に映し出された顕微鏡像を観察しながらマウス操作により目標とする部位を、マウスカーソルで囲み入力するため、操作が簡便で確実に行うことができるようにした。その上、モニター上でシミュレーションをすることも可能となっている。
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