研究課題/領域番号 |
62870080
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
橋本 弘一 明海大学, 歯学部, 教授 (00049347)
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研究分担者 |
森岡 茂夫 佐藤製薬株式会社, 研究開発部, 部長
中島 裕 明海大学, 歯学部, 助手 (80188961)
長山 克也 明海大学, 歯学部, 講師 (40105630)
山賀 谷一郎 明海大学, 歯学部, 助手 (90049403)
新井 浩一 明海大学, 歯学部, 助教授 (90049396)
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キーワード | う蝕予防材料 / 耐酸性 / フッ化物 / セメント |
研究概要 |
科学研究費一般(A)、課題番号58420047の研究において、フッ化インジウム溶液は、う蝕予防剤として今日多く用いられているフッ化ナトリウム溶液の3倍以上、フッ化スズ溶液の2倍もの人エナメル質への耐酸性効果を報告した。本試験研究(2)、課題番号62870080の最終年度では、これら溶液が及ぼす影響を歯科理工学的に検討を行った。 今回、対照とした歯科合着用セメントのりん酸亜鉛、ポリカルボキシレ-トおよびグラスアイオノマ-セメントには、それぞれ大きな特徴がある。りん酸亜鉛セメントは圧縮強さ、溶解度、皮膜厚さに優れているが引張強さは低く、ポリカルボキシレ-トセメントは歯質との接着、皮膜厚さに優れているが圧縮強さの向上が期待され、グラスアイオノマ-セメントは溶解度および皮膜厚さについてより一層の改良が期待されている。これらセメントにフッ化インジウムを配合(各セメント粉末にフッ化インジウム粉末を0.1g添加した場合、各セメント液にフッ化インジウム溶液を添加してF^-100ppmに調整した場合)し、硬化後の圧縮強さ、引張強さ、溶解度およびフッ素イオンの徐放性を試験した。 その結果、圧縮強さおよび引張強さはフッ化物を添加すると低下するが、圧縮強さはADA No.8およびNo.61規格以上であった。 溶解度試験の結果、とくにりん酸亜鉛セメントの粉末にフッ化インジウム粉末を添加すると著しく溶解度が増加し、フッ素放出量も増加する。一方、りん酸亜鉛およびポリカルボキシレ-トセメントの練和液にフッ化インジウム溶液を添加した場合、添加しない場合よりも溶解度が改善され、フッ素放出量は少ないながら経日的に増加することが確認され、これらセメントにフッ化物を添加する場合、至適量のフッ化インジウム溶液をセメント練和液に添加することで、セメントの物性値を維持または改善しながら二次う蝕防止の歯科材料開発の目途が示唆された。
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