研究課題/領域番号 |
62870092
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大内 和雄 東北大学, 薬学部, 教授 (20006357)
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研究分担者 |
和田 由美子 東北大学, 薬学部, 教務職員 (70167469)
平澤 典保 東北大学, 薬学部, 助手 (80181155)
渡邉 雅子 東北大学, 薬学部, 助手 (90182948)
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キーワード | リポコルチン / グリココルチコイド / 抗炎症薬 / ホスホリパ-ゼ / アラキドン酸 / プロスタグランディン / 血管透過性反応 / 足浮腫反応 |
研究概要 |
〔研究目的〕鶴藤らが提唱した「抗炎症タンパク」の実体をなすもののひとつとして、リポコルチンが実際に医薬としての実用性を期待しうる程度の抗炎症作用を有するか否かについて検討する。 〔研究結果〕取替えリポコルチンは東レ基礎研究所より提供をうけ、その抗炎症作用についてステロイド性抗炎症薬と比較検討した。 1.ラットの空気嚢型炎症モデルにおける検定:我々の研究室で開発したザイモサン-CMC誘発空気嚢型炎症モデルの炎症惹起後30-60分の時期の血管透過性はprostaglandinE_2(PGE_2)の関与が大きく、ホスホリパ-ゼ阻害活性があるとされているリポコルチンの効力判定に適切なモデルである。この系に対しリポコルチンを炎症惹起と同時に局所投与したところ、リポコルチンは血管透過性反応、嚢内液のPGE_2レベルおよび浸潤細胞数のいずれに対しても影響を与えなかった。抗炎症ステロイドであるデキサメサゾンを炎症惹起の3時間前に皮下投与した場合には用量依存的にこれらの反応を抑制した。 2.マウスの足浮腫モデルにおける検定:Histamine+PGE_2、bradykinin+PGE_2、leukotriene C_4+PGE_2をマウスの足蹠に注射して惹起する炎症(浮腫)は抗炎症ステロイドであるベ-タメサゾンの局所投与により用量依存的に抑制されるが、非ステロイド性抗炎症薬は無効である。この系においてリポコルチンがステロイドに匹敵する効力をもつか検定したところ、リポコルチンを局所に炎症惹起と同時に投与した場合も、炎症惹起の15分前および2時間前に投与した場合もこれらの浮腫をまったく抑制しなかった。 これらの結果より、組換えリポコルチンにはステロイドに匹敵する抗炎症作用は無いものと判定された。
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