研究課題/領域番号 |
62870093
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
工藤 一郎 東京大学, 薬学部, 助教授 (30134612)
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研究分担者 |
諏訪 頼正 帝人, 生物医学研究所, 研究員
鈴木 洋二 帝人, 生物医学研究所・応用微生物研究グルー
梅田 真郷 東京大学, 薬学部, 助手 (10185069)
井上 圭三 東京大学, 薬学部, 教授 (30072937)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | 炎症 / ホスホリパ-ゼA_2 / 関節炎 / アルザス反応 / アナフィラキシ-反応 / 補体 / 抗炎症タンパク |
研究概要 |
(1)炎症反応で見いだされる細胞外のホスホリパ-ゼA2(高等動物由来14KDaグル-プ2型ホスホリパ-ゼA2と総称する)について炎症の進展とどの様にカップルしているかについて、様々な実験動物モデルを用いて調べた。関節炎モデル:フロイントの完全アジュバントを静脈内投与して誘導した関節炎の炎症部分には、有意な量のグル-プ2型酵素が見いだされた。この部位に別途精製したグル-プ2型酵素を局所内投与したところ、炎症はさらに亢進した。同様の実験をカラゲナンで誘導した関節炎で行ったところ、局所に有意な酵素の誘導は見られるものの、精製酵素の局所内投与での炎症像の増悪化は起こらなかった。アレルギ-モデル:アルザス反応(受身感作)で誘導した胸膜炎部位にグル-プ2型酵素が検出された。しかし、アナフィラキシ-反応(IgE感作した空気嚢内炎症)の部位には、有意な酵素の誘導はなかった。以上の結果は、確かにある種の炎症反応の進展に、グル-プ2型ホスホリパ-ゼA2型が関与していることを示唆している。 (2)ラットグル-プ2型酵素の遺伝子を単離し、解析した。その結果、本遺伝子は、約3キロベ-スに点在する五つのエキソンからなり、ラット遺伝子ハブロイドあたり1コピ-存在することがわかった。構造遺伝子の上流には、典型的なシグナル配列が存在した。これらより、ラットグル-プ2型酵素は、産生された後に、一旦細胞外に放出されてから作用するものと思われた。 (3)グル-プ2型酵素に特異的に作用し、酵素活性を阻害することを示してきた補体第三成分分解物をコ-ドする遺伝子をクロ-ニングし、大腸菌ガラクトシダ-ゼの一部と融合タンパクの形で発現させた。融合タンパクはグル-プ2型酵素の強く阻害した。炎症部位の細胞外で働くホスホリパ-ゼA2に特異的に働く阻害タンパクを、多量に調製するために必要な基礎的な検討はすべて終了したといえる。
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