研究課題/領域番号 |
62870095
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
久保田 幸穂 熊本大学, 薬学部, 教授 (30040299)
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研究分担者 |
鍵本 忠 熊本大学, 医療技術短期大学部, 教授 (30040273)
吉川 ひろみ 化学及血清療法研究所, 主任研究員
桑田 茂喜 化学及血清療法研究所, 主任研究員
庄司 省三 熊本大学, 薬学部, 助教授 (60040317)
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キーワード | ミリスチルペプチド / レトロウイルス / ヒトレトロウイルス / HTLV-I / HIV |
研究概要 |
レトロウイルス感染細胞としてラウス肉腫ウイルス(RSV)感染ニワトリ胚線維芽細胞(RXV-CEF)、ヒト成人Tー細胞白血病原因ウイルス(HILV-I)感染Tー細胞(MT-2)、及び後天性免疫不全症候群(エイズ)原因ウイルス(HIV-I)感染Tー細胞(CEM/LAV)を用いた。ミリスチルペプチド及びそれらの誘導体としてNーミリスチル(Myr)ーグリシナール(GO)ージエチルアセタール(A)(N-Myr-GOA)、N-Myrーグリシル(Gly)-GOA、N-Myr-Gly-Gly-GOA、及びN-Myr-Gly-Gly-Gly-GOAを化学合成し、感染細胞の癌化及び悪性化阻止作用を調べた。N-Myr-GOA及びN-Myr-Gly-GOAはRSV感染細胞の癌化を著しく抑制し、その作用機構はRSV感染により発現してくる癌遺伝子産物(pp60^<v-src>)の機能抑制による事が種々の実験結果により確認され、これらの研究をまとめた論文が国際雑誌Biochemistry Inter.に掲載され、国際的に高く評価されている。 次にヒトレトロウイルスであるHIV-Iの感染細胞に対する作用は、HTLV-Iの感染阻止を評価する実験系が確立されていないので、HTLV-I感染MT-2細胞に対しては[^3H]ミリスチン酸を用い、ウイルスコアタンパク質のミリスチル化阻止をラジオイムノアッセイ法により調べた。その結果、N-Myr-GOA及びN-Myr-Gly-GOAはウイルスコアタンパク質のミリスチル化を著しく阻止した。また、HTLV-I感染細胞(CEM/LAV)に対する本N-Mry-ペプチドの効果が上記のHTLV-Iと同じ様に調べられ、N-Myr-GOA及びN-Myr-Gly-GOAがウイルスのコアタンパク質のミリスチル化を阻止する事が確認され、本N-Myr-ペプチドの抗ウイルス作用が現在NIHで調べられている。これらの結果は論文としてまとめられ、現在国際雑誌Journal of Biochemistryに掲載されている。 今後の問題点として本薬剤の細胞への投与の方法が大きな研究課題で、本薬剤の水への可溶化及び安定性を検討し、水に溶けやすい安定な化合物にできればさらに高い効果が期待できる。
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