研究課題/領域番号 |
62870099
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
御子柴 克彦 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (30051840)
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研究分担者 |
新延 道夫 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (80135748)
池中 一裕 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (00144527)
岡野 栄之 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (60160694)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | ジンピー / オリゴデンドロサイト / ミエリンプロテオリピド蛋白質 |
研究概要 |
ジンピー突然変異マウスは中枢神経ミエリンの形成障害を伴う遺伝性のミュータントであり、ヒトのベリツェウス・メルツバッヘル病のモデル動物である。本研究においてはこのジンピーマウスをヒト遺伝性神経疾患のモデル動物と考え、その変異部位の同定とその治療の試みをしたので報告する。ジンピーにおいてはミエリン形成するオリゴデントロサイトが変性脱落するため、すべてのミエリン構成蛋白質が減少しているが、ジンピー変異の近傍に存在することが示されたミエリンプロテオリピド蛋白(PLP)の遺伝子を中心に解析を進め、以下の知見を得た。【○!1】PLP-cDNAをプローブにしてノーザン解析したところ、ジンピーにおいて正常とほぼ同じ長さのPLP-mRNAが存在していたが、その量は1%程度に減少していた。【○!2】しかし、サザン解析で検出される変異は遺伝子内になかった。【○!3】正常マウスよりPLP遺伝子をクローニングし、塩基配列を解析したところ、PLP遺伝子は7つのエキソンからなっていた。【○!4】各エキソンごとにジンピーPLP-mRNAの構造を調べたところ第5エキソンが存在していなかった。このようなジンピーPLP-mRNAの構造異常は第5エキソンスプライス受容シグナル「AG」が「GG」に変換しているためであることが示された。この結果ジンピーPLP蛋白は異常な構造のC端を持つ。次にジンピーの遺伝子治療をめざして正常PLPK発現ベクターの構築を行った。PLP遺伝子の組織特異的な発現に寄与する領域を決定するためにPLP遺伝子の5'上流領域1.5kbを1acz遺伝子に連結し、PLPを発現していないNIH3T3細胞に導入しプロモーター活性を測定したところC6細胞で高い活性がえられた。また、血清を培地から除去しPLPを発現量を増大させる条件ではプロモーター活性はさらに増大した。以上の結果よりPLP発現ベクターの構築が可能であると思われるので今後ジンピーの脳内に正常なPLPを発現する系を確立していく。
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