研究課題/領域番号 |
62870110
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機能系基礎歯科学
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
伊藤 春生 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (10084716)
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研究分担者 |
中山 義之 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (70084712)
塗々木 和男 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (90139577)
岡部 栄一郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (50097276)
TOKUTOMI Wataru KANAGAWA DENTAL COLLEGE ・ assistant
NAKAYAMA Yoshiyuki KANAGAWA DENTAL COLLEGE ・ professer
HORI Toshio KANAGAWA DENTAL COLLEGE ・ professer (80084721)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | オットセイ骨格筋肉抽出血管活性ペプチド / 分画 / 生理活性 / 血管拡張 / 下肢灌流法 / 血小板凝集抑制 / 5′-AMP / 5′-ADP / カルノシン / ヒスタミン |
研究概要 |
オットセイ骨格筋原肉エキスには、血管拡張、血流量増加、心拍数・収縮力増加、冠血流量増加、腸管平滑筋収縮、利尿、抗炎症などの薬理作用が確認されており、口腔内疾患治療薬としての応用が期待されている。本研究は、循環器系に対する活性成分を決定するため行った。原肉エキスをアンバーライトXAD-2樹脂カラムで分画物I(非吸着成分)と分画物II(吸着成分)に分画した。その生理活性は、分画物Iの方が分画物IIよりも高く、下肢灌流実験では著明に血流量を増加させた。その結果から、有効成分が分画物Iに含有すると判断した。分画物Iは、さらにDowex 50w (H^+ form)により非吸着成分のB画分、吸着成分でpH4.2付近で溶出するC画分、2Mアンモニアで溶出するD画分、メタノール性-2Mアンモニアで溶出するE画分の4成分に分画された。血流量増加作用は、E>B>C>D、血小板凝集抑制作用はC>E>D>Bの順であった。また、摘出冠動脈、脳底動脈弛緩作用効力はC》B,Dの順であり、E画分は収縮作用を示した。赤血球の変形能とATP含有量は、B,C画分でわずかに認められ、D,E画分では全く認められなかった。Sephadex G-10ゲルクロマトグラフによる各画分の活性本体の安定では、生理活性成分が、アミノ酸溶出部位に現れ、その分子量は数百以内と推定された。B画分は、5′-ADP、C画分は5′-AMP、D画分はカルノシンおよびアンセリン含有、E画分は、5′-ADP、C画分は5′-AMP、D画分はカルノシンおよびアンセリン含有、E画分はヒスタミンがその本体であることが示唆された。また、抽出粗分画を用いた場合、ハムスターチークポーチ微小血管拡張作用を示し、かつ、歯周疾患に有意の改善作用を認めることができた。これらの効果は、粗分画中でそれぞれ同定された物質の相互作用によってもたらされたものであり、個々に用いた場合の循環系に対する作用と、それから派生する副作用の点から考慮すれば、現時点では、粗分画のまま臨床応用すべきである。ただ、未確認の物質も含まれているため、さらに詳細な検討を要する。
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