研究課題/領域番号 |
62880022
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 進 東北大学, 金属材料研究所, 名誉教授 (90005835)
|
研究分担者 |
高橋 正人 日本原子力事業, 総合研究所, 研究員
平山 文夫 日本原子力事業, 総合研究所, 研究主務
塩川 佳伸 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (50111307)
|
キーワード | アクチニド / 内部転換電子スペクトロメトリー / 同位体比測定 |
研究概要 |
アクチニド核種はほとんどがα放射体であり、更にその高い内部転換係数のためα線放出率が小さいことが多いのでその同定定量は主にα線スペクトロメトリーによって行なわれている。しかし、α線スペクトロメトリーのエネルギー分解能は核種の同定には必ずしも十分ではなく、更にそのスペクトルではテイリングが避けられないため定量には誤差を生じ易い。このためプルトニウムの管理に極めて重要な量である同位体比^<240>Pu/^<239>Puでさえもα線スペクトロメトリーで測定することは事実上不可能である。本研究はアクチニド核種が大きな内部転換係数を有することに着目して、内部転換電子スペクトロメトリーにより、これらの同位体比を測定するため、優れたエネルギー分解能を有する内部転換電子測定装置を試作することを目的とした。 内部転換電子装置は昨年度にほぼ完成したが、本年度は次の2点について改良を加えた。(1)電子検出器のためのクライオスタットを改良することによって、真空度は1×10^<-7>torrに改善された。その結果、検出器表面に付着する水分が著しく減少し、エネルギーの低い^<244>Cmの43ーL_<I,II>電子(20.6KeV)でも検出が可能となった。(2)電子検出器の電子入射窓は-1500Vの電圧が印加されているため、接地されている線源から放出された電子は1.5KeV減速されて検出される。その結果、得られるスペクトルのエネルギー軸が電子とα線で異なり不具合である。これを解決するため、線源の取付台を装置から電気的に絶縁して、-1500Vの電圧を印加できる構造とした。これの改良により、安定したエネルギー分解能で測定することが可能となり、得られるスペクトルの解析も容易となった。一方、理論的に計算された内部転換係数から、アクチニド核種の電子放出率を得るプログラムコードをパーソナルコンピュータ上で開発し、スペクトルの解釈に役立てることができた。
|