研究課題
熱応力または熱衝撃に対する材料の破壊力学的性質は破壊靱性値(K_<IC>)に加えて熱伝導率(k)、弾性係数(E)および熱膨張係数(α)がK_<IC>k/Eαなるパラメ-タの形で関与するので、これらの総合的な評価が必要である。本試験研究は熱衝撃破壊靱性のパラメ-タを一括して測定する装置の開発を行なったもので、2000℃に達する高温に至るこのパラメ-タの測定が可能になった。本装置により、従来、個々に測定されてきた各種物性を一括して簡単かつ合理的に測定できるようになった。本試験装置を用い高温ガス冷却型原子炉(日本原子力研究所HTGR)用の炉心黒鉛材料および核融合臨界試験装置(日本原子力研究所JTー60)用プラズマ対面第一壁材としての黒鉛および炭素繊維強化複合材(C/Cー複合材)の熱衝撃破壊靱性の定量的な評価を行ない、これら装置における材料の選択に際し重要な寄与を行なった。これらの研究成果は国内・外の学術誌に発表され高い評価を得た。また本試作装置は高炉用コ-クスにも適用され、室温から2000℃に至る高温まで応用され、高炉内のコ-クスの熱応力破壊の性状がはじめて解明され、従来のドラム強度試験の結果と比較され、熱応力破壊の特徴を明らかにした。材料の熱応力または熱衝撃破壊は発熱を伴うしゅう動、電流を伴うしゅう動などのトライボロジ-の一般に応用が可能である。本試作装置はメカニカルシ-ル用炭素材のブリスタ-状破壊に応用され使用限界PV値を理論的ならびに実験的に明らかにした(日本材料強度学会論文賞(1989))。および電機用炭素、金属黒鉛質ブラシに応用され限界電流密度の定量的評価に成功した。今後本試作装置は宇宙航空などの分野にも広く応用される。
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