研究概要 |
1.前年度開発した。シングルホトンカウンティングレベルの二次元検出器とラマン分光用レーザ顕微鏡装置をドッキングして、システム化を実行した。 2.新たに購入したマルチャンネル検出システムを組み込み、実際に1ミクロン程度の微少領域のラマンスペクトルの測定を行なった。 3.核酸モノヌクレオチド微結晶(5′CMP・Cd,5′dCMP・Cd,5′CMP・Zn,5′CMP・Mn,5′GMP,5′dGMP・Ni等)のスペクトルを測定したところ、針状微結晶の1ミクロン程度の領域から、約100秒程度の時間で良好なスペクトルを測定できた。過去には1mg程度の試料で測定時間が5時間程度で測定していたスペクトルより、S/N比、分解能ともにすぐれており、今回のシステムは全体として全く問題がない事が判明した。 4.検出器の感度を最高にした状態では、レーザ光強度は約50μW(過去の測定では50〜200mW)でも、6分程度で良好なスペクトルが測定できる事が判った。システムとして従来のものより3ケタ程度感度の向上を図る事ができた。 5.従来の顕微ラマン分光装置では、測定が非常に困難であった、イン石中のダイヤモンド薄膜のラマンスペクトルを100秒で全く問題なく測定でき、しかもその線形解析からイン石中のダイヤモンド生成に関して議論する事ができた。 6.本システムで実際の1個の生細胞のラマンスペクトルの1ミクロン領域の測定を行なったところ、一部光学系(試料の散乱角度と対物レンズとの問題等)を改善した方がよい事が判り、改善を行なっているところである。
|