研究課題/領域番号 |
62890005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
横山 陽 京都大学, 薬学部, 教授 (90025685)
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研究分担者 |
葉杖 正昭 日本メジフィジックス株式会社, 技術部, 技術部長
米倉 義晴 京都大学, 医学部, 講師 (60135572)
藤林 泰久 京都大学, 医学部, 助手 (50165411)
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キーワード | 62-Cuジェネレ-タ / 62-Cuジチオセミカルバゾ-ン錯体 / 脳血流診断薬剤 / 68-Ga標識抗体 / 68-Ga標識抗体用スペ-サ / 68Ga標識ジゴキシン / ラジオイムノアッセイ / ポジトロン核医学診断 |
研究概要 |
昨年度までに62-Cuジェネレ-タの開発ならびにジチオセミカルバゾ-ン(DTS)、デスフェリオキサミン(DFO)をキレ-ト骨格とする62-Cu、68-Ga二官能性キレ-トあるいは二官能性キレ-ト剤、それぞれの開発の可能性を見いだしたが、本年度の研究はこれらの成果を踏まえて、さらに以下のような新しい62-Cuおよび68-Ga標識放射性医薬品の研究を進めた。 (1)62-Cu二官能性キレ-ト:主に、脳血流診断薬剤を中心に検討することを計画し、62-Cu-DTSキレ-トの中性、かつコンパクトな化学構造に基く脳血液関門の通過性と、さらに脳内滞留性とを備える候補化合物をいくつか選定し、それらの合成と脳内挙動を基礎的に検討した。その結果、脳血流診断薬剤に実際に応用し得ると評価される脳内挙動を示す2-3の標識化合物が得られた他、脳内で、Cu-DTSの2価Cuから1価Cuへの酵素的還元反応、およびエステル基を導入したCu-DTS誘導体において、エステルの酵素的加水分解が進行することなどの新しい脳機能診断薬剤開発研究への貴重な布石となる知見が見いだされた。 (2)68-Ga二官能性キレ-ト、二官能性キレ-ト剤:68-Ga標識抗腫瘍抗体を用いるがんの核医学診断は68-Gaの利用において、もっとも期待されているが、これを実現化させるためには血液および他組織からの早い放射能の消失に対する工夫が必要である。本研究では、68-Ga-DFOと抗体との結合の間に代謝性のスペ-サの導入とその化学構造を考案することによって、体内動態に著しい改善をもたらした。また、ジゴキシンの糖鎖の部分にGa-DFOを導入した誘導体を合成し、これをインビボ診断における心臓のNa:K-ATPase機能診断のみでなく、インビトロ診断における血中のジゴキシンの高感度ラジオイムノアッセイに適応し得る可能性を見いだした。同時に、同じ考えで68-Ga標識抗体を用いる高感度ラジオイムノアッセイの確立をめざした基礎的な研究を進め、新しいラジオイムノアッセイの展開を期待させる成果を治めた。
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