研究概要 |
本研究はポジトロン核医学診断の普及を高めるため、ポジトロン金属核種(P-RI)ジェネレ-タ製造システムの確立と、P-RIを標識核種とする脳、心臓およびがんの核医学診断薬剤の開発を目的とし、当初、62-CU,68-Ga,82-Rbおよび52m-Mnを対象とするこれらの研究計画をたてた。しかし、その後の国際的研究の進展から、1)62-Cuジェネレ-タシステムの開発、2)62-Cu標識診断薬剤の開発、および 3)68-Ga標識診断薬剤の開発がもっとも重要課題であると考え、これらの研究に主力を注いだ。以下にそれぞれの成果を述べる。 1)62-Cu製造ジェネレ-タシステム:まず、天然Cuをタ-ゲットとする63-Cu(p,2n)62-Znの核反応とそれに続く分離操作で、62-Cuジェネレ-タの親核種に用いる62-Znを高収率、高純度に得、続いて、種々の条件で検討後、62-Cuをグリシン錯体として分離溶出する極めて実用的なジェネレ-タシステムを完成した。 2)62-Cu標識診断薬剤:62-CuのDithiosemicarbazone(DTS)キレ-トの安定な結合、コンパクト、かつ無電荷の化学的性質を二官能性キレ-トのデザインに利用した62-Cu標識アルブミン(血流診断)62-Cu標識高級脂肪酸(心筋エネルギ-代謝機能診断)、62-Cu-DTS-エステル誘導体(脳血流診断)等とそれぞれ開発し、臨床診断の基礎となる標的組織への集積挙動を基礎的に検討した。 3)68-Ga標識診断薬剤:68-Ga-クエン酸錯体を用いるがんの核医学診断に必要な短時間内がんへの選択的集積について基礎的に検討すると共に、さらに、68-Ga標識抗腫瘍抗体によるがんのインビトロおよびインビボ核医学診断の可能性を検討し、それぞれ将来の展開に結び付く成果を治めた。
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