研究課題/領域番号 |
63010007
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
坂本 澄彦 東北大学, 医学部, 教授 (20014029)
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研究分担者 |
堀内 淳一 東京医科歯科大, 医学部, 助教授 (90013870)
大川 智彦 東京女子医大, 助教授 (80085604)
横路 謙次郎 広島大, 原医研, 教授 (70034618)
橋本 嘉幸 東北大, 薬学部, 教授 (90072412)
小林 博 北海道大, 医学部, 教授 (20000911)
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キーワード | 低線量全身照射 / 低線量半身照射 / ホルモン依存性腫瘍 / 腫瘍免疫賦活効果 / 転移抑制 |
研究概要 |
10ラド及至20ラドの全身照射は個体の腫瘍免疫を賦活させる働きがあること、そしてその効果は照射後6〜15時間の間に最も顕著に現れることが昨年までのマウスを使用しての基礎研究で明らかになっていた。又この効果は、脾癌を含む腹部のみの照射でも現れることも見出した。そこで今年は、低線量全身照射の転移形成に対する効果の検討及び脾癌と胸腺を含む半身照射の効果を臨床的に検討することを主な研究テーマとした。癌転移に対する全身照射の効果を検討する基礎的研究は、癌転移のモデルとして人工的に作った血行性転移をモデルを使用した。先ず腫瘍細胞をマウス尾静脈から注入し、肺にコロニーを形成する能力を種々の線量の照射との関係で調べた。結果は、20ラドの照射をした場合(照射は腫瘍細胞注入と同時に行われた)に最も肺に形成されるコロニーが少なく、腫瘍細胞注入と照射の時間との関係では、注入と同時に照射される場合が最も効果は大きいが、照射前9時間から照射後9時間の間は、転移形成抑制の効果がみられることが判った。一方臨床的研究では、極度に進展した例を対象に主として肺癌及び悪性リンパ腫についてパイロットスタディを行った。先ず10ラド週2回で、計14〜15回の半身照射を行っても、血液の変化をはじめ他覚的に変化を認めた例は1例もなく、自覚的にも異常を訴えた例は全くなかった。腫瘍制御に対する効果の研究は来年度から本格的に開始されることになるが肺癌及び悪性リンパ腫に対する腫瘍発育抑制効果は確かに認められるとの感触が得られている。本研究では放射線の効果が体内液性因子とか免疫によってその発現がどのように変わってくるかについても研究が進められているが同種のラットでホルモン依存性の腫瘍とそうでない腫瘍では組織系が同じでも、放射線に対してはホルモン依存性の腫瘍の方が感受性が高いことが示されている。
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