研究課題/領域番号 |
63015047
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上野 陽里 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (60025541)
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研究分担者 |
小林 慎江 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (80027408)
北岡 祥伯 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (00027426)
赤星 光彦 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (00027418)
高橋 正治 京都大学, 胸部疾患研究所, 教授 (00026931)
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キーワード | 原子炉 / 中性子 / ^<10>B / 中性子核反応 / ホウ素核酸前駆物質 / がん放射線治療 / 中性子捕捉療法 |
研究概要 |
本研究は今年が初本度であった。京都大学原子炉が休止するという不測の事態が発生したけれども、各班員はある程度の成果を上げる事ができた。以下それを列記する。 1.ホウ素化合物の合成ならびに分析 ホウ素DNA関連物質の合成の前段階としてウラシルBr_2を反応させて5-ブロモウラシルを合成し、さらにこれを用いて5-ブロモ、2、チ-ジクロロピリミジンを合成して、NMRとIRのスペクトル分析を行った。すでに中性子捕捉療法に利用しているホウ素含有デキストランの60MH_2-NMRスペクトルを観察し、その構造を推定した。 2.ホウ素化合物の細胞毒性 ホウ素化合物であるホウ酸、トルメチルカルボキシ-ジヒドロボレイト、モノアミノカルボキシ-ジヒドロボラン、ホウ素-デキシトランおよび新しく入手した5-ジヒドロボリルウラシル、5-(2-ジヒドロキシル-チ-ジヒドロキシボリル)-ベンジルウラシルのHeLa細胞致死作用を観察した。その結果、いずれも中性子捕捉療法に使用する濃度の範囲内では強い毒性を認めなかった。また作用機序の比較的明らかなcis-Ptの細胞致死効果と比較して、ホウ素化合物の細胞致死効果(細胞毒性)を検討した。 今後の研究の展開について:ホウ素化合物の合成の収量はまだ少なく、今後合成を継続する。またプラスマ・エミッション法による細胞内のホウ素の定量法を確立し、振動スペクトル法で細胞内ホウ素の存在状態を明らかにする。原子炉が再起動でき次第、中性子細胞致死に対するホウ素化合物の増強作用の実験を始める。また現行の各放射線療法と中性子捕捉療法が将来併用される可能性を考え、加温がこの増強作用に及ぼす影響について、実験を行う。
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