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1988 年度 実績報告書

メタロチオネインなど制御可能な生体要因の量的質的調節による各種制癌剤の副作用軽減

研究課題

研究課題/領域番号 63015087
研究機関北里大学

研究代表者

井村 伸正  北里大学, 薬学部, 教授 (70012606)

研究分担者 姫野 誠一郎  北里大学, 薬学部, 助手 (20181117)
瀬子 義幸  北里大学, 薬学部, 講師 (60133360)
キーワード制癌剤 / 副作用軽減 / メタロチオネイン / ビスマス化合物 / 放射線 / 脂質過 酸化 / 併用療法 / DNA組換え
研究概要

昨年度までにマウスを用いた実験的研究で次硝酸ビスマス(BSN)の経口前投与がcis-DDPの腎毒性をはじめとする各種の毒性を顕著に軽減することを明らかにしたが、本年度はcis-DDPの標的臓器である腎臓ではcis-DDPのptがビスマス化合物によって誘導合成されたメタロチオネイン(MT)に結合していることを^<195m>pt標識cis-DDPを用いた実験で証明し、cis-DDPの毒性軽減機構へのMTの関与を確かめた。また、前年度明らかにしたようにBSNの前投与は、cis-DDP以外の制癌剤の毒性もそれぞれ軽減することから、cis-DDP、BLM、ADR及び5-FUの組合せ投与に対するBSN前投与の効果をマウスを用いて検討したところ、cis-DDPとBLMの組合せでは致死毒性、腎毒性、骨髄毒性の全てが、またcis-DDP、ADR、5-FUまたはcis-DDP、5-FU、BLMの3者併用では致死毒性並びに骨髄毒性がそれぞれBSNの前投与で顕著に抑制されることが明かとなった。これらの事実から、実際の化学療法で繁用される制癌剤の多剤併用療法においてもBSNの前投与が有効である可能性が示唆される。更に、BSNの前投与は癌治療に多様されるγ線照射の致死効果や骨髄傷害を有意に軽減し、しかもγ線の腫瘍縮小効果には影響を与えないことを見いだした。このとき、BSN投与により骨髄中のMTが上昇し、照射にともなって生じる骨髄細胞中の脂質の過酸化が抑制されることも確認した。以上の結果は、既存医薬品であるBSNが化学療法のみならず放射線療法あるいは両者の併用療法においても極めて有用な副作用軽減剤であることを示している。一方、各種制癌剤の副作用や、放射線障害に対するMTの役割を細胞レベルで更に明確にするために、gene transfectionの手法を用いてMT遺伝子のコピー数が増加した細胞株を作製中であるが、今年度は、SV-40のプロモータの下流にマウスMT-1cDNA断片を連結させたプラスミドを構築した。現在、トランスフォーマントについてMTの発現を検討中である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] M.Satoh: Cancer Chemother.Pharmacol.21. 176-178 (1988)

  • [文献書誌] A.Naganuma: Jpn.J.Cancer Res.(Gann). 79. 406-411 (1988)

  • [文献書誌] M.Satoh: Toxicology. 53. 231-237 (1988)

  • [文献書誌] M.Satoh: J.Pharmacobio-Dyn.(1989)

  • [文献書誌] N.lmura: "Essential and Toxic Trace Elements in Human Health and Disease" Alan R.Llss,lnc., 443-456 (1989)

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公開日: 1990-03-19   更新日: 2016-04-21  

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