研究計画にそって成果をまとめた。 1.O^6-メチルグアニンと突然変異の生起 ニトロソグアニジン(MNNG)耐性HeLaS_3細胞(MR10-1)よりニトロソウレア誘導体であるACNUに抵抗性細胞(AC^r41、AC^r42)を分離した。これらのAC^r細胞はO^6-メチルグアニンDNAメチルトランスフェラーゼ(MT)活性が回復していた。AC^r細胞と親株のMNNGによる6-チオグアニン及びウワバイン耐性細胞の出現頻度を比較して、AC^r細胞が突然変異誘発に抵抗性があることがわかった。 2.O^6-メチルグアニン以外の細胞死に関係するアルキル化塩基の同定 大腸菌のalkA遺伝子を動物細胞用発現ベクター(p500)に組込み、リン酸カルシウム沈殿法でBHK細胞に導入する事ができた。現在ヒト培養細胞にエレクトロポレーシンでalkAの導入を試みている。 3.O^6-メチルグアニンと細胞死の関連 HeLaS3Mer^-細胞からACNUに抵抗性細胞を分離した。AC^r細胞はMT活性が著明に増加していた。このAC^r細胞は親株に比し、MNNGによる致死に抵抗性であった。 MR10-1細胞のMNNG耐性機構 MNNG耐性細胞、MR株の中に、自然突然変異率の高い細胞(MR10-1、MR1-3)と親株(HeLaS3Mer^-)と変わらない細胞の二種の細胞が存在していた。前者の細胞株は6-メチルメルカプトプリン及び6-メチルメルカプトプリンリボシッドに親株に比し抵抗性であった。 1、3の成果からO^6-メチルグアニンがMNNGによる突然変異及び細胞致死に関係していることが強く示唆された。今後、O^6-メチルグアニンと発がんとの関係、MR10-1及びMR1-3を用いての自然突然変異のメカニズムの解明をおこなう計画である。
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