研究課題/領域番号 |
63041012
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
田中 和夫 弘前大学, 理学部, 教授 (40003511)
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研究分担者 |
林 信太郎 秋田大学, 教育学部, 助教授 (90180968)
瀬戸 正弘 東北工業大学, 工学部, 教授 (60085412)
浜口 博之 東北大学, 理学部, 教授 (20004385)
笠原 稔 北海道大学, 理学部, 助手 (40001846)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | アフリカ地溝帯 / 活火山 / 溶岩湖 / 噴火 / 火山性地震 / 熱構造 / 火山岩 / マグマ |
研究概要 |
1988年8、9月にニイラゴンゴ、ニアムラギラ火山において、火山の深部および浅部の熱的構造、火山活動と地溝帯運動の関連性を研究するため、地震、地磁気の観測、比抵抗の測定、辺長、水準測量および火山岩の採集を実施した。1989年4月のニアムラギラの噴火をうけて、総括研究の一部を変更し、同年6月に地震、辺長、水準測量の項目について再調査を実施した。両年度にわたる調査・解析・分析結果は下記のように要約される。 1.ニイラゴンゴ火山の溶岩湖活動 1982年6月21日再現した溶岩湖の表面温度は数度程度であり変化が認められない。しかし、火口底からの噴気量が増大していることから、溶岩湖は近い将来再活発化すると考えられる。 2.地溝帯の地震活動 火山下15Km〜20Kmに発生する長周期地震の発生頻度は依然高い水準にある。1988年には、ニアムラギラ火口の南東部での地震活動が活発であった。この場所に1989年の噴火が発生したことは、噴火の前兆活動を捕えた事になる。 3.ニアムラギラ火口の辺長変化 1984年までの変化は山体の膨張傾向を示していたが、1986年の噴火後は、NEーSW方向にのみ縮みが見られる。4回の噴火を挾んでの変動量は1x10^<-5>のオ-ダ-であった。1989年の噴火の一つは山頂割れ目噴火であったが、噴火後の火口の歪は南北方向に大きく、その量は10^<-4>に達する。 4.地溝帯を横断する辺長変化 変動量は、4年間で0.5-2x10^<-5>と小さく、現在のところ地溝帯の拡大傾向は認められない。ニアムラギラの山体の膨張の影響による南北方向の収縮が、ニアムラギラの南の地域に認められた。 5.地溝帯の熱構造 マシシ、ルエンゲリ、ニアムラギラ山頂などで行なった地磁気観測と1986年の観測により得られたより詳細なインダクションベクトル図から、1900年代の噴火地点の連なりに沿って内部に誘導電流が流れている、即ち、電気伝導度が高いことが明らかとなった。さらに地磁気変化と関係のない地電流の流れの方向からもこの結果が確認された。高温であると考えられる良導体は地下2Kmから9Kmの深さにあると推定される。 6.火山岩の組成変化 1976年〜1988年のこの地域で発生した噴火による噴出岩はいずれもtephritic phonoliteであるこれはPorphyritic typeとAphyric typeの2種類に区分できる。後者のK_2Oは年代が若くなるにしたがって、3.60%から3.0%に減少し、Na_2Oも減少した。これに対し、MgO,CaOは増加した。この噴出物の組成変化は、マグマが次第に未分化になる傾向を示しており、深部のマグマ溜まりからもたらされたものであると考えられる。 上記の結果は、地溝帯深部のマグマ活動が活発であり、今後ニイラゴンゴの溶岩湖活動の再活発化や噴火が頻発する可能性を示している。
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