研究課題/領域番号 |
63041129
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
長谷川 強 国文学研究資料館, 文献資料部, 教授 (00039942)
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研究分担者 |
田嶋 一夫 いわき明星大学, 人文学部, 教授 (70044724)
竹下 義人 国文学研究資料館, 文献資料部, 助手 (90197286)
山崎 誠 国文学研究資料館, 文献資料部, 助教授 (70094696)
小峯 和明 国文学研究資料館, 文献資料部, 助教授 (70127827)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | イエ-ル大学 / バイネッキ図書館 / スタ-リング記念図書館 / 朝河貫一 / 日本イエ-ル協会 / 和古書目録 |
研究概要 |
昭和62年度の予備調査では、イエ-ル大学図書館における1907年、故朝河貫一教授の収集による日本文学関係和書に目標を定めつつ、プリンストン大学図書館・同大学美術館、コロンビア大学図書館、シアトル市立美術館等々における和古書の所在調査を行った。 その結果、イエ-ル大学ではバイネッキ図書館の所蔵ばかりでなく、スタ-リング記念図書館東アジア部にも朝河教授将来の資料が分散していることが分かり、しかも朝河コレクション以外の和古書資料も少なからず所蔵されていることが明らかになった。さらに朝河教授収集の資料がワシントン議会図書館にもイエ-ル大学とほぼ同数、所蔵されているとの情報も得られた。 またプリンストン大学以下は、貴重な資料も少なくはないものの、目録を作成するほどの分量がないため、継続的な調査を今回は見合わせることにした。 昭和63年度の本調査では、バイネッキ図書館の朝河教授将来本の書誌調査を中心に行い、さらにワシントン議会図書館の朝河コレクションの調査も試みたが、時間の制約もあって、一部の調査に止まった。 平成元年度は、まず前年度から続いているバイネッキ図書館の朝河将来本の調査を継続、これを完成させた。書誌をとった資料は約842点に及ぶ。 次に同じ朝河コレクションで、スタ-リング記念図書館の東アジア部に分散している和古書の調査に移り、これを完成させた。その結果、144点が朝河将来本であることが判明した。これらは、いずれしかるべき手続きを経て、バイネッキ図書館に移管されるはずである。スタ-リング記念図書館東アジア部には、これ以外にも1873年マ-シュ教授将来本をはじめ、和古書が少なからず所蔵されているが、まったく未整理の状態であり、今回は朝河将来本を選り抜くに止まった。 ついでバイネッキ図書館所蔵の1934年、日本イエ-ル協会コレクションの調査に移り、貴重本を中心に細目にわたる書誌デ-タをとった。これは朝河教授が日本イエ-ル協会に働きかけて、資料を収集したもので、かなり貴重な和古書が含まれている。すでに朝河教授が作成した英文の目録が刊行されていたので、全貌は掌握できたし、幸いにも、イエ-ルに滞在していた山村規子氏が全点の書誌デ-タを作成中だったので、これを活用させて戴いた。イエ-ル大学の調査にあわせて、前年度に引き続き、ワシントン議会図書館の調査に移る予定であったが、図書館側の事情で調査ができなくなった。やむなく急遽、ハ-バ-ド大学のフォッグ美術館に赴き、ハイドコレクションの資料の一部を調査した。これも先方の事情で充分な調査が許されなかったが、今後の調査の手がかりは得られた。以上の経過でアメリカでの調査を完了し、書誌デ-タにもとづいて、まず国内の資料との関連を大谷大学図書館や叡山文庫をはじめ各地の文庫・図書館に赴いて調査し、資料の性格や価値のあとづけを試みた。その結果、他に伝本の知られていない資料をはじめ、いくつかの貴重な資料の存在が明らかになった。 ついで書誌デ-タをもとにイエ-ル大学所蔵の朝河教授将来の和古書目録を作成、さらに日本イエ-ル協会コレクションの英文目録の日本語版を作成。双方ともに公刊し、国文学研究資料館におけるマイクロフイルム収集の基礎資料とすることができた。今後、この目録をもとに継続的に資料のフイルム収集を実行する予定である。また目録の解題をイエ-ル大学図書館東アジア部長の金子英生氏に執筆して頂き、当初の目的である在米研究者との交流を図ることができた。 ワシントン議会図書館の調査を完了しない限り、アメリカにおける朝河将来資料の全貌は掌握できないわけで、今後の課題としておきたい。
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