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1988 年度 研究成果報告書概要

タスマニア及びニュージーランドの菌類の分化と分布に関する研究ーー特に日本産ブナ科植物上の菌類との関連を中心として

研究課題

研究課題/領域番号 63043033
研究種目

海外学術研究

配分区分補助金
応募区分学術調査
研究機関滋賀大学

研究代表者

本郷 次雄  滋賀大学, 教育学部, 教授 (60024866)

研究分担者 BUCHANAN Pet  ニュージーランド国立科学産業研究所(DSIR), 植物病, 研究員
BEEVER Ross  ニュージーランド国立科学産業研究所(DSIR), 植物病, 室長
津田 盛也  京都大学, 農学部農薬研究施設, 助教授 (10026578)
土居 祥〓  国立科学博物館, 植物研究部, 室長 (10000134)
杉山 純多  東京大学, 応用微生物研究所, 助教授 (80142256)
TSUDA M.  Associate Professor, Pesticide Res. Inst., Kyoto Univ.
BUCHANAN P.K.  Plant Diseases Division, DSIR, Auckland, New Zealand
研究期間 (年度) 1987 – 1988
キーワードニュージーランド産菌類 / タスマニア産菌類 / ハラタケ目 / ヒダナシタケ目 / 核菌綱 / チャワンタケ綱 / 酵母菌類 / 植物病原菌類
研究概要

1.各菌類分類群の研究結果
(1)担子菌類 ハラタケ目(本郷担当)では相当数の新産類や新種が発見され、その1部については目下報告を印刷中である。タスマニアのツキヨタケ近縁種とニュージーランドのシイタケ近縁種についてはさらに生化学的・遺伝学的研究を続けている。この他、日本産のソライロタケやムラサキフウセンタケにごく近縁の別種がニュージーランドに分布することが明らかになった。
ヒダナシタケ目(Buchanan担当)では、汎分布種を除いて日本産種と関連のある種は殆ど発見されなかった。一方、当該地特産種には分類学上重要な種があり、その中には今回丸調査で発見された5新種が含まれる。腹菌亜綱(Beever担当)では、日本に産しない多数の種がみられた。日本に持ち帰ったそれらの標本は、科博における菌類分類学公開講座の実物教材としても大いに活用されている。ニュージーランド産のクラウスツラ科の1属1種のきのこは報告されて以来60年ぶりにタイプロカリティーから再発見され、現代の分類学的観点から詳細な研究が行われ、報告も準備されている。なお、カゴタケ属は太平洋西岸に沿って分布する菌類の1例であるが、本属あるいは同様の分布が知られる菌類が南米パタゴニアにも分布していないか確認する必要がある。
(2)子嚢菌類(土居、阿部、Beever、Johnston担当)チャワンタケ綱ではナンキヨクブナのみに寄生するキッタリア目の分類学的位置の研究が倉石(東京農工大)によって行われた。目や科のレベルの分類に有用なユビキノンシステムの分析の結果について目下吟味検討中である。いずれはパタゴニア産のキッタリアについても追試を計画している。
ファキジウム目(リチスマ目)については、日本に専門研究者がいないため、ニュージーランドの研究者Mr.Johnstonを日本に招へいし、日本産本目菌類の研究を依頼した。その結果、汎分布種を除くとニュジーランド産と日本産の種間には同種あるいは近縁別種と考えられる種は発見されなかった。地下生のツチダンゴ属では今回のニュージーランドの調査で2新種が発見された。それぞれナンキョクブナ及びレプトスペルムム(フトモモ科)に依存する。核菌綱では、クロサイワイタケ目のHypoxylon属やボタンタケ目のHypocrea pallida群、H.piluli fera群などに、ニュージーラント及びタスマニアと日本に近縁別種が分布する例が明らかになった。Hypocrea属やハラタケ目の例から、大陸間のような地理的スケールで近縁別種が地理的に分布する例が菌類にはあることが指摘された。H.pallida群についてはすでに報告し、H.pilulifera群については目下報告を準備中である。
(3)その他の菌類 酵母菌類(子嚢菌及び担子菌を含む、杉山担当)では、ニュージーランドの野生植物体から分離された野生酵母は1新種を含めて多彩であった。
植物病原菌類(津田担当)ニュージーランド及び日本の導入作物や侵入植物を犯す糸状菌による病害相は、それぞれの地域の地史的特性を反映して対照的に異なり、今後さらに、両国間の糸状菌病害相を比較し、侵入を警戒すべき糸状菌に対し植物防疫上の対策を講じる必要があることが明らかになった。
2.菌類の地理的種分化について。ニュージーランド及びタスマニアと日本に近縁別種が分布する例が相当数認められた。このような地理的規模での近縁菌類の分布と種分化は他の生物ではあまり認められない例であろう。
3.今後の調査研究計画。これについては上記各項目でも多少記したが、さらに次のような調査研究も菌類の分化と分布を解明するために必要である。
(1)ナンキョクブナの分布するオーストラリア本島、南米パタゴニアの菌類の分類学的、生物地理学的研究
(2)タスマニアの一部地域にみられる、ナンキョクブナ(上部)とユーカリ林(下部)の隣接森林地域にみられる極めて豊富な菌類の分布と種分化の様相の調査研究
(3)タスマニア及びニュージーランドの森林における有機物分解菌類の生態学的研究及び菌根形成菌の樹木生育への寄与の程度。

  • 研究成果

    (10件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (10件)

  • [文献書誌] Hongo,T.: Trans.Myc.Soc.Japan. 30. (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 杉山純多: 日本農芸化学会誌. 63. 179 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Nakase,T.: Journ.Gen.Appl.Microbiol.35. (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 中瀬崇: 日本菌学会 第32回大会講演要旨集. 63 (1988)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Doi,Y.: Mem.New York Bot.Gard.49. 233-242 (1988)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 土居祥〓: 昭和63年度日本菌学会関東支部大会講演要旨集. 5 (1988)

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      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Hongo, T.: "Five noteworthy larger fungi from Tasmania" Trans. Mycol. Soc. Japan. 30. (1989)

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      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Sugiyama, J.: "Floristic study on the New Zealand and Tasmanian yeasts inhabiting on living plants" Nippon Nogeikagaku Kaishi. 63. 179 (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Nakase, T.: "Bensingtonia ingoldii sp. nov., a balistospore-forming yeasts isolated from Knightia excersa collected in New Zealand" Journ. Gen. Appl. Microbiol.35. (1989)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Doi, Y.: "Hypocrea pallida and its allies (Hypocreaceae)" Mem. New York Bot. Gard.49. 233-242 (1988)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1990-03-20  

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