研究課題/領域番号 |
63043065
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研究種目 |
海外学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
尚樹 啓太郎 東海大学, 文学部, 教授 (60055712)
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研究分担者 |
金原 保夫 東海大学, 文学部, 助教授 (20161614)
禿 仁志 東海大学, 文学部, 助教授 (10186009)
藤 盛美郎 東海大学, 文学部, 助教授 (70056208)
関根 孝夫 東海大学, 文学部, 教授 (70119684)
鈴木 八司 東海大学, 文学部, 教授 (10055692)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | デャドヴォ・テル / 中世トラキア / 古代トラキア / 青銅器時代トラキア / ブルガリア考古学 |
研究概要 |
ブルガリア国デャドヴォ村近傍のテルは南東ヨーロッパ最大のテルで、トラキア人の起源やバルカン半島と小アジアとの考古学的関係の解明に重要な遺跡である。ここは紀元12〜13世紀から新石器時代にさかのぼる層からなっていて、将来はカラノヴォ・テルに代わって、バルカン半島の考古学編年の基準となることが予想される。 東海大学隊は昭和59年以来ブルガリア隊と協力してこの遺跡の発掘調査を行ってきたが、昭和62年度は東海大学隊担当調査区を25Jにまで拡大し、ブルガリア側担当区の撮影などに積極的に協力し、かつ周辺関連遺跡の調査も行った。その詳細については「デャドヴォ遺跡調査概報(1987)」(バルカン・小アジア研究、XIV号)及びA preliminary report on the excavation at Djadovo,Bulgaria,1987(Ashikaga memorial Research Center of Balkan and Asia Minor,Tokai University)に記載されている。なおこの年には三笠宮殿下御夫妻の現地視察をお迎えした。 昭和63年度は62年度の発掘調査で日本にもちかえった炭化殻粒のC14による年代測定を行い、ブルガリア側現地発掘責任者ディアナ=ゲルゴヴァ女史を1989年1月に日本に招へいした。後者については、日本側研究者との交流、日本の考古学遺跡の見学、1989年度発行予定の英文報告書第1巻の編集打ち合わせ、1989年度調査の打ち合わせなどを行い今後の研究協力にとってきわめて有効であった。 なお東海大学は1988年度も大学予算で現地の発掘調査を行い、初期青銅器時代に到達したのではないかと推定される層にまで掘り下げた。また従来「通路様遺構」とされていたものが、当遺跡東南部を囲む曲線を描く濠を埋めたもので、その内側の石畳列とほぼ同心円を描いてつくられているものであることが判明したほか、従来から認められていた粘土遺構や竃の調査を進め、また粘土製動物偶片をはじめとする諸遺物を発見した。この回には初めて露出文化層面の剥離を行い、1989年度にその仕上げを予定している。櫓の使用も今回がはじめてであったが遺構全体の観察と撮影に効果を発揮した。これらについては「デャドヴォ遺跡調査概報(1988)」(バルカン・小アジア研究、XV号)に記載されている。
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