研究課題/領域番号 |
63043074
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研究種目 |
海外学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 学術調査 |
研究機関 | 国立科学博物館 |
研究代表者 |
井上 浩 国立科学博物館, 植物研究部, 部長 (00000117)
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研究分担者 |
出口 博則 高知大学, 理学部, 助教授 (60117017)
横山 和正 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (50024948)
柏谷 博之 国立科学博物館, 植物研究部, 主任研究官 (10000142)
橋本 保 国立科学博物館, 筑波実験植物園, 主任研究官 (90110113)
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研究期間 (年度) |
1988
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キーワード | ゴンドワナ大陸 / 隠花植物 / 蘚苔類 / 地衣類 / 菌類 / 染色体数 / 化学成分 |
研究概要 |
現地調査によって収集された資料は、全て標本化が終了し、各分担研究者により研究が行われた。また、一部の資料については各専門研究者に研究依頼をし、解析が行われた。 蘚類;生品として持ち帰ったEustichia longirostrisなど8種の蘚類について染色体数の研究を行い、明確な核型ならびに染色体数について明らかにすることが出来た。このうち、Philonotis scabrifoliaでn=7、Eustichia longirostrisでn=13などを明らかにしたが、アジア、及びヨーロッパなどで同属の種で明らかにされているものとは染色体数が異なる点、系統分類上重要なことである。なお、南米の蘚類についてはこれまで全く細胞学的解析がおこなわれてなく今回初めて8種の報告がされることとなる。タチヒダゴケ属ならびにギボウシゴケ科の分類学的解析の結果、1新種ならびにチリ新産7種を見出した。この結果、中部チリがこれらパタゴニア系の分布北限となっていることが明らかとなった。 苔類;Monoclea,Plagiochila等の諸属の苔類18種について染色体数ならびに核型を明らかにすることが出来たが、Monoclea gattscheiについてはn=9が確認され、パタゴニア、ニュージーランドのM.forsteriと基本的に同じであることが明らかとなった。また、苔類53種について油体型ならびに化学成分についての解析をおこない、パタゴニア地域の苔類との関連性を調べた結果、これらの細胞化学的な面では、チリ中部はパタゴニア地域の延長線上にあり、特殊な種内分化はおこしていないことが明らかとなった。 地衣類;カラタチゴケ属を主として化学分類学的に検討した結果、化学成分は質的によく似ているが、主成分が異なる複数の化学変異株が存在することが明らかとなり、中ー南米、オーストラリア東部、東アフリカなどの地域の種類と近縁性をもち、分布分化の上で大きな示唆を与える。また、アンデス地域のゲジゲジゴケ属26種を確認し、これら全ての種類にデプシドン類、シリテルペン類で特徴づけられる化学的変異株の存在が明らかとなった。 菌類;動物糞性菌については1新属、3新種、1新産種が明らかとなり、アンデス地域新変種も多数確認した。また、落葉分解菌についても25属45種を明らかにすることが出来、北半球のほぼ同緯度におけるリッター内フロラと類似性をもつことが明らかとなった。しかし、これが菌の広分散性を示すものか、または北半球から移入されたマツなどにともなって侵入したものかはこれからの解析を要する。
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