研究分担者 |
KITCHING Wil クィーンズランド大学, 化学科, 教授
JIANG YingーY 中国科学院, 化学研究所, 教授
ZAIDLEWICZ M ニコラス, コペルニクス大学・化学科, 教授
LIPSHUTZ Bru カリフォルニア大学, サンタバーバラ校化学科, 教授
是枝 正人 ミシガン州立大学, 化学科, 教授
尾島 巌 ニューヨーク州立大学, 化学科, 教授
根岸 英一 パデュー大学, 化学科, 教授
古田 寿昭 東北大学, 理学部, 助手
根本 尚夫 東北大学, 理学部, 助手 (30208293)
上原 忠夫 東北大学, 理学部, 助教授 (10004459)
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研究概要 |
βーアルコキシ環状エ-テル合成 βーアルコキシ環状エ-テルはBrevetoxin,Ciguatoxinなどに代表される海洋生理活性天然物に見られる構造単位である。単に合成化学的興味だけでなく、医薬品化学や環境科学、食品衛生学の面からもその効率良い合成法が望まれている。現在活発に合成法が研究されているが、置換基の立体選択的導入や中員環エ-テルの効率良い構築という観点からは満足のいくものは少ない。そこで我々はアリルスズの立体制御能と原子半径1.4A^^0と空間的拡がりを持つスズ原子のテンプレ-ト効果を利用し、γーアルコキシアリルスズとアセタ-ルの分子内カップリングによる合成を行なった。 シンプルな基質20を用いた場合6員環は85%、7員環も79%の単離収率で環化生成物が得られた。このとき環酸素の隣の置換基は完全にシスに制御することができた。更にこれをBrevetoxinの部分構造に近く、6員環でコンフォメ-ションが固定された系で行なうと、8員環も30%で得られた。この場合も環酸素の隣はシスに制御され、βーアルコキシ部分も91:9とかなり高い選択性で制御できることがわかった。 ●鉛の特性を活した有機合成 テトラアナキル鉛は、炭素・鉛結合の平均結合エネルギ-が155KJmol^<-1>と炭素ースズの234KJmol^<-1>より小さく、更に反応性が高いと予想できる。しかも14族テトラアルキル体の特徴である水や空気に対して安定という性質をもっているので単純なアルキル化剤としては、今までにない特質を備えたものになりうる。実際、ルイス酸と組み合わせることでアルキル化が高収率・高選択性で進行することを見いだした。 ●アルデヒドに対する不斉誘導 テトラアルキル鉛22は四塩化チタン(Ticl_4)存在下、アルデヒドと速やかに反応する。このR_4PbーTiCl_4複合応剤の特徴は、不斉点を持つアルデヒドに対して高選択的にアルキル化できることにある。カルボニル基のα位にヘテロ原子が存在しないアルデヒド23にこの複合反応剤を用いると93:7の比でCram体24が優先する。またα位に酸素原子を持つアルデヒド26に対しては98:2と非常に高い選択性でキレ-ションコントロ-ルされた生成物27が得られる。更にGrignard試薬のような古典的アルキル化剤では全く選択性がない29に対しても高選択的にキレ-ションコントロ-ルされた生成物30が得られる。 ●αーエトキシカルバマ-トに対する不斉誘導RapbーTiCl_4複合反応剤は、不斉点を持つαーエトキシカルバマ-ト32を高選択にアルキル化することができる。カルバマ-トはヨウ化トリメチルシランで容易に相当するアミンへ変換できる。 ●αーアルコキシ有機鉛化合物を用いる1,2ージオ-ル誘導体の立体分岐合成 近年、αーアルコキシ有機鉛化合物(M=Sn,Li,Mgx,Cux)は有機合成上有用な反応剤として注目されているが、35(M=Li,MgX,CuX)とアルデヒドとの反応における立体選択性は、35のRが1級あるいは2級のアルキル基の場合それほど高いものではなかった。我々は官能基化されたアルキル基を高立体選択的にトランスファ-する目的でαーアルコキシ有機鉛(35:M=Pb)を合成しアルデヒドとの縮合反応を検討した結果、ルイス酸を変えるだけで、シン体37とアンチ体38のジオ-ル誘導体を立体分岐合成することに成功した(Scheme4)。
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