研究課題/領域番号 |
63044040
|
研究種目 |
国際学術研究
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
奈良 毅 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90014464)
|
研究分担者 |
内田 紀彦 園田学園女子大学, 文学部, 教授 (70168699)
藪 司郎 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (30014509)
溝上 富夫 大阪外国語大学, 外国語学部, 教授 (60030152)
峰岸 真琴 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助手 (20190712)
坂本 恭章 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (30014468)
|
研究期間 (年度) |
1988 – 1989
|
キーワード | 南アジア諸言語 / 語彙調査 / 文法調査 / インド・ア-リア諸言語 / ドラヴィダ諸言語 / オ-ストロアジア諸言語 / チベット・ビルマ諸言語 |
研究概要 |
1.研究目的及び方法上の意義 南アジアは多民族複合社会であり、多様な系統の言語がモザイク状に分布し、複雑な言語状況を呈していることは言うまでもないが、この地域における、独立後の諸言語の概観的・包括的記述研究は未だなされていない。このような状況下において、本研究は日本側のアジア・アフリカ言語文化研究所(ILCAA)と、インド側のインド諸語中央研究所(CIIL)との初めての共同研究として企画された。その目的は、インド国内及びその周辺地域の4つの主要な言語系統である、インド・ア-リア系、ドラヴィダ系、オ-ストロアジア系、チベット・ビルマ系の諸言語について、近代言語学的な立場から調査研究を行い、電算機を駆使して語彙、文法分析のための口語・文語資料を収集し、将来の南アジア諸言語の研修、研究用の教科書、辞典、文典編纂のために役立てようとするものである。また、CIILとの共同研究を行うことで、英語、ヒンディ-語、ベンガル語、日本語による言語調査表の共同開発および調査項目の電算機デ-タベ-ス化がなされ、さらにAA研独自の非ロ-マ字系電算機デ-タと、インド側とのデ-タ交換プログラムを開発することにより、各言語デ-タの入力、分析処理にあたって、日本・インド間の電算機デ-タの共通利用が可能になった。さらに、日本側の利益としては、さまざまな事情により、現状では研究が困難な、辺境の言語や少数民族言語について、CIILによって、日本側の研究者にネイティブスピ-カ-との直接の接触、調査の機会が提供されることである。 2.口語資料 昭和63年度・平成元年度本調査においては、インドの公用語など、この地域の諸言語の中でも特に使用者の多い言語を、主として取り上げ、調査を行った。その結果、CIILとの上記の共同開発による基本語彙調査表(約三千五百語)、アジア・アフリカ言語文化研究所編纂になる基本語彙調査表(二千語)、服部基礎語彙調査表のいずれかに基づいて、ヒンディ-語、ベンガル語、パンジャ-ブ語、オリヤ-語(以上インド・ア-リア系言語)、カンナダ語、タミル語、テルグ語、(以上ドラヴィダ系言語)、カ-スィ語、モン語、サンタル語、ムンダリ-語(以上オ-ストロアジア系言語)、ミゾ語(ルシャイ語)、メイテイ語(以上チベット・ビルマ系言語)についてインフォ-マントに面接し、その発音をIPA(国際音声字母)で記し、語彙を収集・録音し、文法の分析を行うことができた。このうちヒンディ-語を除けば、IPAを用いて発音表記をした辞典は従来皆無であり、今回の調査によって、きわめて貴重な資料を収集しえたということができる。 3.電算機資料収集 上記の調査対象言語のうち、小・中学校教育で使用される言語であるヒンディ-語、ベンガル語、カシミ-ル語、パンジャ-ブ語、オリヤ-語、カンナダ語、タミル語、テルグ語については、主として教科書を電算機のデ-タとし、その他の言語については従来の言語研究成果のうちもっとも価値の高いと考えられる文献を選び、デ-タ入力を行った。これらは文語の第一次資料としてデ-タベ-ス化され、インド諸語研究者に公開される予定である。将来の南アジア諸語研究には、豊富な用例を資料とした、実証的な研究が要求される。そのためにも、この文語資料デ-タベ-スの、基礎的な研究手段としての利用が期待される。なお、面接調査により収集された口語資料についても、電算機によるデ-タ入力、文析が進められている。 今後は上記の口語、文語資料について、さらに文析を進め、本年度の研究報告書に引き続き、論文集、基礎語彙集などを順次発表する予定である。また、電算機に蓄積されたデ-タの効率的利用についての研究を進め、最終的な目標である南インド地域諸言語の調査・研究資料のデ-タベ-ス化および研修用教科書、辞典、文典の編纂を進めてゆく予定である。
|