研究課題
国際学術研究
オレゴン健康大学では、63年には患者一名を診察した。これは誤診で遺伝性象牙質形成不全症であることを明らかにしたが、これも関連の貴重な症例であって、家系調査を続けることに合意をした。元年には前年度ウエノ教授と討議した資料の他の資料を検討して、それらの臨床写真をコピ-すると共に、所有の5名分の歯を全部受け取り、日本で分析することにした。2年度には更に2家族の患者を見いだし臨床所見について討議し、本疾患患者であることを確認した。患歯の入手については更に患者の理解を得るまで時間を掛けることにした。ミネソタ大学においては、63年にはウイトコップ、チェルベンカ両教授と今日までの世界で発表された文献の解析を行い、現在の我々の分類の再検討もした。また元年にはミネソタ大学における資料の検討を上記教授達と討議したのち、彼らが現在まで所有していたにもかかわらず、昨年度は検査分析をした学者が転出をして資料が無いと云っていて、本代表者に隠していた14症例の全資料を受領し、日本で再度研究分析することにした。65年には、ウイトコップ教授と日本の症例2例の分類上の位置づけで討論し、われわれ日本側の評価に同意を得た。また、チェルベンカ教授と本問題の討議をし、昨年彼が日本で検討した資料および東京医科歯科大学および九州大学での問題点での討議をふまえて、米国の資料での考え方を提示し、更に意見交換をし、その結果考え方の差異は比較的に少ないことを確認した。カナダのトロント大学においては、63年には小児歯科における先天異常歯の資料(スライド)を多数チェックし、本疾患患者を抽出しそのコピ-を後送してもらった。しかし、元年の調査では期待どうりには進まず、次年度の研究場所には再検討の要を認めた。65には、その後研究資料は得られず、単に本疾器についての一般的討議にとどまった。そこで、ダルホ-シ-大学を尋ねてのコ-エン教授との討議では、学会において評価されている疫学的研究の方法についての立場から、本研究班の今日までの研究成果を評価するものの、われわれがさらに確立すべき疫学的調査研究の方法について異論をとなえ、さらに討議の末、今後のわれわれの研究班の研究方法について多大の示唆を得られた。また、チェルベンカ教授が米国ミネソタ大学の一部の症例を持参して訪日し、新潟大学に集めた日本人患者の資料と比較しながら検討した。さらに、チェルベンカ教授は、東京医科歯科大学および九州大学の研究者たちと、本研究テ-マの問題点について討議をした。その結果、日本双方の患者の特異的差異は現在のところ明らかには出来ない。さらに、本患者の両国の発生頻度調査、遺伝学的ヘテロゲニチ-の調査が必要であることに意見の一致を見た。日本では、その後の新しい症例は、得られていない。さらに精力的に新患者の発見に努める手配をした。日本におけるその後の研究:今日までに得られた資料について、東京医科歯科大学の一条尚教授(口腔解剖学)に応援を依頼し、エナメル質の電子顕微鏡的電子解析を行いつつある。 福島助教授の努力にもかかわらず、日本における新患者の発見は、目下のところ増加していない。以上の成果は、平成3年に一部が発表される予定である。なお、今日、スエ-デンのウメオ大学の資料の一部の分与を受けており、さらに広範囲の国際学術研究へと発展させる予定である。
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