研究課題
国際学術研究
高融点の共晶系複合材料は将来の超高温構造材料として有望視されて来たが、実用化された例は少ない。その原因は、材料の内部構造の制御法が確立されていないばかりでなく、内部構造と高温強度の関係や強化原理が明らかにされていない点にある。そこで本研究では、複合材料の強化にもっとも重要な役割をはたしていると思われる、母相ー強化相間における応力伝達挙動に着目し、母相ー強化相間の異相界面がどのような内部構造を有するときに、高い高温強度の材料が得られるかという点について計算機シミュレション法により研究した。得られた成果は、次の通りである。1.複合材料の高温クリ-プ曲線を予測できる計算機シミュレ-ションのプログラムを開発した。2.高融点共晶複合材料の高温強度を特徴づける異相界面構造として、界面すべりを生じやすい弱い界面と加工硬化を生じやすい強固な界面の典型的な例をとって、それぞれの場合の高温クリ-プ曲線の予測を行った。その結果、連続繊維強化複合材料では、(1)弱い異相界面はクリ-プ性能に及ぼす効果は小さい、(2)母相の局所的な強化は複合材料の寿命を数桁も増加させる、(3)すべてのクリ-プ曲線は漸近的にある一定のひずみに近づき、このとき負荷応力はすべて繊維だけで担なわれる。(4)強固な界面層は、繊維への応力伝達をおくらせることが明らかとなった。また、短繊維強化複合材料では、(1)弱い異相界面はクリ-プ性能に及ぼす効果が大きく、界面強度がゼロの極限では界面すべりが顕著になって応力は繊維に伝達されず、複合材料の強度は母相単相材よりも弱くなってしまう、(2)母相が局所的に強化されても、クリ-プ性能に及ぼす効果は小さい、(3)クリ-プ速度は次第に減少してついには定常状態が得られる。その定常クリ-プ速度は界面強度に強く依存するなど、複合材料開発の指針となる重要な点が明らかにされた。3.すなわち、超高温用構造材料を開発するためには、強化相と母相間に存在する異相界面の構造に特に注意すべきである。4.粒子分散強化型複合材料の高温強度試験および試験後の組織を電子顕微鏡で観察することによって、異相界面構造の電要性が実証された。
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