研究課題/領域番号 |
63044124
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研究種目 |
国際学術研究
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 共同研究 |
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
荒川 晧 大阪府立大学, 農学部, 教授 (50128758)
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研究分担者 |
深田 恒夫 大阪府立大学, 農学部, 助手 (80081595)
馬場 栄一郎 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (70081594)
MCDOUGALD L. ジョージァ大学, 農学部, 教授
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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キーワード | コクシジウム / サルモネラ / ナイカルバジン / ブロイラ- / 野外飼育 / 混合感染 |
研究概要 |
本研究は、鶏における腸管内サルモネラ感染の持続性に及ぼすコクシジウム感染の影響を野外飼育状態に近い実験施設で調べることを目的とした。これらの条件を満たす実験施設として、アメリカ合衆国ジョ-ジァ州にあるジョ-ジァ大学の附属実験農場をMcDougald教授と共同で使用した。 昭和63年度の研究では、2、3および4週齢のブロイラ-を用いて、ナイカラバジン(125ppm)混入群(コクシジウム感染を抑制した群)および非混入群の2群に分け、それぞれにコクシジウム(Eimeria tenella,E.maxima及びE. aceruvulina)を投与した後、サルモネラ餌に混ぜ両群に与え、菌混餌1週間後および出荷齢時に盲腸内容中のサルモネラ菌数を半定量法で求めた。 その結果、両群および両時期とも3週齢のブロイラ-は2あるいは4週齢の鶏よりもサルモネラの分離された割合が高く重篤な感染であった。 従って、3週齢のブロイラ-は2あるいは4週齢の鶏よりもサルモネラの感受性が高いことが判明した。平成元年度の研究では、前年度と同様の実験を3週齢のブロイラ-を使って行った。そして、盲腸内容および肝臓からサルモネラの分離を判定量法で行った。 その結果、盲腸において、サルモネラ混餌1週間後および出荷齢時の両時期とも、ナイカルバジン125ppm混入群(コクシジウム感染を抑制した群)に比べて薬剤非混入群はサルモネラの検出率が高く、且つ、サルモネラが分離された場合には検出菌数も多いことが判明した。肝臓においては、サルモネラ混餌1週間後、薬剤混入群のみにわずかのブロイラ-からサルモネラが分離されたが、出荷齢の時期では、両群からはサルモネラは分離されなかった。 従って、野外条件下でもコクシジウム感染がサルモネラ感染を助長することが判明した。本年度は、McDougald教授に来日していただき、2年間の実験のデ-タ-整理を行い投稿の準備を行った。また、整理の段階で、実験方法、すなわち、サルモネラの有無に用いた半定量法による菌数とを実際の菌数を比較した。すなわち、盲腸便を1gを入れた試験管を用意した。培養したサルモネラ菌液を段階希釈し、希釈液1mlをそれぞれの試験管に入れ、よく混合後、綿棒をその液に浸漬し、それをサルモネラの選択培地であるMLCB寒天に塗布した群を「直接法」とした。その綿棒を10mlのトリプトソイブイヨンに入れて、混合後、新たな綿棒をその液に浸漬し、それをMLCB寒天に塗布した群を「希釈法」とした。また、残ったトリプトソイブイヨンを先ほどの盲腸便混合液と混ぜて24時間培養後、新たな綿棒をその培養液に浸漬し、それをMLCB寒天に塗布した群を「培養法」とした。 その結果、「希釈法」によってサルモネラが検出された場合、菌数は10^6個/g以上、「直接法」では10ー10^6個/gまた「増殖法」では10個以下と判明した。 これらの結果から、2年間の成績を総合すると、薬剤非混入群(コクシジウム感染の予防をしていない群)においては、希釈法において多くの菌が検出されたことから、この群においては糞便中10^6個/gのサルモネラを排菌していたことが判明した。 したがって、このような野外飼育状態での実験で、コクシジウムとサルモネラの同時感染は、多数のサルモネラが排菌されることから、ブロイラ-解体時に鶏肉のサルモネラ汚染の可能性が推測され、食品衛生上からもコクシジウム感染が重要な問題と考えられる。
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