研究分担者 |
PEIGNEUX.J.P ジエ.ピー. アネシー素粒子物理学研究所, 物理部(フランス), 教授
STROOT J.P. 欧州連合原子核研究所, 素粒子実験部, 教授
PROKOSHKIN Y 高エネルギー物理学研究所, 物理部(ソ連プロトピノ), 教授
清水 肇 山形大学, 教養部, 助教授 (20178982)
中村 輝男 宮崎大学, 工学部, 教授 (00025305)
稲葉 進 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (10013434)
都留 常暉 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (60044781)
小林 正明 高エネルギー物理学研究所, 物理研究部, 助教授 (40013388)
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研究概要 |
1987年4月にKEKで行われたハドロンスペクトロスコピ-国際会議を契機に,CERN(欧州),IHEP(ソ連)及びKEKの間で検討されていた共同研究計画が急速に具体化し,1988年4月より海外学術研究として軌道に乘る亊が出来た。CERNとIHEPは共に同型のガンマ線ホドスコ-プ型検出器・GAMSスペクトロメ-タ-を有し,既にフランス・ベルギ-・ソ連を中心にイタリア・アメリカ等が加わった国際共同研究を組んでいた。そこにKEKが加わり,CERN・450Gev,IHEP・70Gev,KEK・12Gevと異った三つの加速器エネルギ-領域に於て,互いに相補的な研究を進めることになった。共同研究は,旅費の屈さを別にすれば,亊前の研究計画の検討に沾って極めて順調に展開した。 デ-タ採取と部分波解析:CERN及びIHEPに於けるデ-タ採取は下表のように行われた。CERNにあるGAMSー4000は既によく調整され検出器系で,この共同研究の期間にデ-タ採取系の増強を行ない,デ-タ採取の効率を上げた。後述するようにGAMSー4000は1993年まで稼動する予定である。他方,IHEPはGAMSー2000を増強し,タ-ゲット周辺と広角度領域にカロリメ-タ-を配し,4π立体角に可能な限り近づける努力を行ない,名称もGAMSー4πに改めた。GAMSー4πは更に大型ドリフトチエンバ-を1991年より装備する予定で,これらの増強に於てKEKはチエンバ-信号読出系及びカロリメ-タ-信号分析系エレクトロニクス回路の開発・設計を行った。 得られたデ-タの解析は夫々の研究機関で解析が進められている。ηπ^0π^0終状態の解析はKEKの中心的興味の課題である。1986年にKEKに於てπ^+π^ーη系に見出した7(1400)の相補的な崩壊モ-ドになり,エキゾチクスの存在が期待されているJ^<pc>=O^<ー+>状態に新しい知見をもたらすものと期待している。解析は現在尚進行中である。ωπ^0系はCERN・IHEP・KEK3研究材関が夫に独立に追求している課題である。1987年,KEKが未だ参加していないGAMS共同研究は世界で初めてクォ-ク・反クォ-クからはつくり得ない中間子状態・エキゾチック状態をηπ^0系に発見したと報じた。本当であればQCD理論にあって大ニュ-スであり,確認が急がれている。KEKにあってはこの実験と独立にπ^-η系で検証を試み,現在解析が進行中で,解析の途上,既にIHEP・CERNの諸君と極めて有益な議論が交換されている。GAMSの結果と並びKEKの結果が如何に得られるか,本共同研究にあって1991年度の最大の課題の一つである。 検出器系の増強:科研費海外学術研究は派遣旅費の支援のみであるが,幸いKEKの理解を得て検出器系の開発研究をすすめる亊が出来た。GAMSー4000の於てはVMEシステムに依るデ-タ採取系の増強を計ることが出来,デ-タ採取の効率を上げることが出来た。GAMSー2000は先述のように4π立体角への増強を行なった。この増強にあって我々のエレクトロニクス開発・設計・製作への寄与は本質的である。1991年12月のデ-タ採取はこの増強されたシステムで行われる予定である。 共同研究の総括と今後の展望:CERN・IHEP・KEK3極の3ケ年共同研究は順調にデ-タを採取し,現在も解析がすすめられている。本共同研究の当初の目標の一つであった解析方法を互いに共通の基盤に乘せ議論するという目論見は徐々に成果を見つつある。先述のωπ^0,ηπ^0/ηπ^ーなどがその役割を担った。3ケ年の間に得られたデ-タの解析は今後も何らかのやり方で継続したい、本科研費による研究はこの3ケ年で終了するが,CERNがLHCのために固定タ-ゲット実験を1993年以降全てIHEPに移す意向を表明しているのを考慮して,1992年度以降はIHEPを中心に研究がすすめられるものと思える。
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