研究分担者 |
SEVELEDER Ve バリ中央工科大学, CNRS, 助手
HARTMANN Jea パリ中央工科大学, CNRS, 助教授
SOUFIANI Ano パリ中央工科大学, CNRS, 助教授
ESPOSITO Emi パリ中央工科大学, CNRS, 教授
有光 直子 横浜国立大学, 工学部, 助手 (00114968)
影井 清一郎 横浜国立大学, 工学部, 助教授 (20017966)
佐藤 正千代 横浜国立大学, 工学部, 名誉教授 (60017861)
坪井 孝夫 横浜国立大学, 工学部, 教授 (70017937)
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研究概要 |
パリ中央工科大学(Ecole Centrale Paris)エネルギ-学研究室との共同研究「燃焼機構のレ-ザ-光による研究」は1988年に始まり、概ね目標を達成して本年3月をもって終了した。 この間、パリ中央工科大学より、E.Esposito教授を始め4研究者を横浜国立大学工学部に招き、本学熱学および情報処理教室より5研究者を派遣し、研究資料の交換、討論、相互視察、共同実験等により、研究を推進した。以下、成果の概要を述べる。 1.プロパン一酸素混合気中を伝播する火炎をレ-ザ-光散乱法を用いて調べた結果、理論燃焼温度3,000Kに対し10,000K〜150,000Kの高エネルギ-粒子が」火炎のみならず、その前方でも、高い密度で検出され、火炎の伝播機構解析にとって重要な発見となった。(Jpn.J.Appl.Phys.Vol27、1988)。この結果は、パリ中央工科大学にも伝えられ、後の燃焼波と衝撃波の干渉の研究に投だった。 2.ディ-ゼル機関で利用される液体燃料の噴霧燃焼中の輝炎による熱輻射分布の時間変化を測定するため、パリ中央工科大学で開発されたア-ベル変換法が、同大学の指導のもとに応用された。この結果、火炎が傘状に燃え広がる様子や、噴霧周辺から中心に向かう傾向のあることが判った。(自動車技術会研究論文Vol.22,1991)。また、波長3,392μmの赤外HeーNeレ-ザ-を用いて、未燃プロパンー酸素混合気中を伝播する圧力波の挙動が観測され、火炎面との相互位置関係や、圧力波による燃焼速度の変化が観測された(自動車技術学会講演会、1990、10月)。 3.多成分スペクトルの分解の際に、ファジイ理論を応用して、測定値よりノイズの影響を抑える方法を開発し、目下、パリ中央工科大学で得られたデ-タに応用計算中である。 4.赤外線吸収スペクトル解析の理論的方法として、LineーbyーLine法と統計モデルによる方法があるが、その中間的モデルとして、吸収スぺクトルのロレンツ曲線を三角形で近以したモデルを提案し、これに基ずいてCO_2およびH_2O分子の吸収スペクトルを解析した。パリ中央工科大学では、その結果を検討し、CO分子に適用することとした。 5.横浜国立大学工学部では、N_2およびArで希釈されたCH_4によるHeーNeレ-ザ-よりの3 392μmの波長光の吸収を衝撃波管を用いて1200Kまでの高温度領域について測定し、結果がパリ中央工科大学での理論値とよく一致することを確かめた(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.29,1991)。 6.パリ中央工科大学で行われた対流による熱伝達の計算で生ずる、安定の問題について理論研究が共同で行われた。ファジイ理論の適用を目下検討している。 以上のように、共同研究によりかなりの成果を上げることが出来た。パリ中央工科大学側は、ア-ベル変換法やレ-ザ-光吸収の理論で貢献し、横浜国立大学側は衝撃波管による実験とスペクトル解析法やファジイ理論の面で貢献した。 共同研究の他に、相互に相手国の関連する研究所、大学研究室も視察し、国としての研究事情を知ることもでき、甚だ有益であった。特に、フランス側は今後とも更にこの種の共同研究がひきつずき行われることを切望している。
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