太陽フレアの磁場エネルギー蓄積・解放過程の観測的解明

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 63065001
• 研究機関: 国立天文台
• 研究代表者: 桜井 隆 国立天文台, 太陽物理学研究系, 助教授 (40114491)
• 研究分担者: 一本 潔 国立天文台, 太陽物理学研究系, 助手 (70193456) ; 日江井 栄二郎 国立天文台, 太陽物理学研究系, 教授 (60012796)
• キーワード: 太陽 / 太陽活動 / 太陽フレア / 太陽黒点 / 太陽磁場

研究概要

太陽フレアをひきおこすエネルギーの源である、太陽表面の磁場の歪みの蓄積と解放を総合的にとらえることが本研究課題の目的である。昨年度の望遠鏡架台部分の製作に引続き、今年度は望遠鏡制御部の製作と、望遠鏡に塔載する光学系の導入を行なった。
1.望遠鏡制御部は、望遠鏡のポインラィングや太陽の自動追尾を制御する装置で、手動操作のためのパネルと、計算機制御用インターフェイスから成る。基本性能についてのチェックは終了し、現在、実際に太陽を観測して太陽追尾機構の精度検査を行っている。
2.望遠鏡は対物レンズの後に、平行光束を作るためのコリメーターレンズ、適当な大きさの太陽像を得るためのカメラレンズ、平坦な画像を作るための較正光学系等を配置するが、これらの設計、製作を行なった。
3.太陽の彩層構造を観測するための、Hα線用リオーフィルターを購入し、透過波長特性の検定を行なった。また、黒点、白斑を観測するための干渉フィルターを購入し、得られる像の質について試験を行なった。
4.太陽表面のガスの流れを測定する磁気光学フィルターについては、昨年に引続きガラスセルの試作を行なったほか、透過波長を移動させるためのKDP結晶を購入した。
以上、観測装置の製作は順調に進んでおり、来年度はHα線と白色光による本観測をスタートさせるほか、磁場測定用のリオーフィルターを導入する計画である。

研究成果

• [文献書誌] T.Sakurai: "Computational Modeling of Magnetic Fields in Solar Active Regions" Space Science Reviews. 51. 11-48 (1988)
• [文献書誌] T.Sakurai: "Magnetic Equilibria and Instabilities" Solar Physics. 121. 347-360 (1989)
• [文献書誌] T.Sakurai and E.Hiei: "Structure of the Solar Corona" IAU Highlights of Astronomy. 8. 513-516 (1989)
• [文献書誌] T.Sakurai: "Magnetohydrodynamic Solar Stellar Wind Models" Comp.Phys.Reports. (1990)
• [文献書誌] T.Sakurai 他: "Construction of Long-Life Magneto-Optical Filters for Helioseismology Observations" Springer Lecture Notes in Physic“Progress of Seismology of the Sun and Stars". (1990)
• [文献書誌] Z.Suemoto,E.Hiei,Y.Nakagomi: "Continuous and Line Spectra of Granules and Intergranular Lanes" Solar Physics. 347-360 (1990)
• [文献書誌] M.Irie,H.Fukushima,E.Hiei: "Eruptive Prominence of January 30,1989" Publ.National Astron.Obs.Japan. 1. 177-179 (1989)
• [文献書誌] K.Ichimoto,E.Hiei,Y.Nakagomi: "Spectral Manifestation of the Granular Velocity Field" Publ.Astron.Soc.Japan. 41. 333-341 (1989)
• [文献書誌] K.Tanaka: "Studies on a Very Flare-Active δ Group" Solar Physics. (1990)