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1988 年度 実績報告書

明暗および色の弁別に関与する視細胞の生体分子のダイナミックス

研究課題

研究課題/領域番号 63065002
研究機関京都大学

研究代表者

吉澤 透  京都大学, 理学部, 教授 (10028128)

研究分担者 深田 吉孝  京都大学, 理学部, 助手 (80165258)
七田 芳則  京都大学, 理学部, 助手 (60127090)
前田 章夫  京都大学, 理学部, 助教授 (20012370)
キーワード視細胞 / 好塩菌 / ロドプシン / アイオドプシン / GTP結合蛋白質 / レーザー閃光分解法 / 低温スペクトル / 単クローン抗体
研究概要

交付申請書に記載の研究計画に従って研究を進め、以下の結果を得た。〔桿体について〕1.11-12の二重結合の捻れやすさの異なるレチナール類縁体を発色団とするロドプシシ(Rh)類縁体を合成し、その閃光分解法による解析から、フォトRhの発色団が捻れた全トランス型構造をもつことを示した。2.フォトRhの生成・崩壊の時定数に重水素効果がないことを見出し、これらの過程にプロトン移動が関与しないことを明らかにした。3.GTP結合蛋白質(T)のγサブユニットが二成分から成ることを見出し、この違いによってRhのメタII中間体とTとの親和性が異なることを明らかにした。〔錐体について〕4.ニワトリ網膜からRh及び四種の錐体視物質を安定に抽出する方法を確立した。更に、赤色感受性錐体視物質アイオドプシン(Iod)の高純度精製と緑色感受性錐体視物質の部分精製に成功した。5.Iodには塩素イオンが結合しているが、この塩素イオンを硝酸イオンに置換すると、低温において生成したバソ中間体が昇温によってルミ中間体に変化することを見出した。つまりIodの光退色過程に、塩素イオンが何らかの形で関与している可能性が示唆された。6.精製したIodの閃光分解法による解析から、バソ中間体が常温においても生成する生理的中間体であることが明らかとなった。7.精製Iodをリポソームに再構成し、ここへ、ウシ網膜から精製したTを加えたところ、Iodの光退色に伴ってTのGTP結合活性の上昇が認められた。この結果は、錐体の視興奮過程の分子機構が桿体の場合と類似していることを示唆する。8.Iodに特異的な単クローン抗体をプローブに用いて、ニワトリ網膜のcDNAライブラリーからIodをコードしているcDNAクローンを単離することに成功し、その塩基配列から部分アミノ酸配列を推定した。〔好塩菌について〕9.好塩菌の光走性に関与する光受容蛋白質フォボロドプシンの光反応過程を低温分光学的に解析し、新たな中間体を発見した。

  • 研究成果

    (18件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (18件)

  • [文献書誌] Hideki Kandori: Photochem.Photobiol.48. 93-97 (1988)

  • [文献書誌] Yoshinori Shichida: Biochemistry. 27. 6495-6499 (1988)

  • [文献書誌] Yoshinori Shichida: FEBS Lett.236. 333-336 (1988)

  • [文献書誌] Toru Yoshizawa: "Molecular Physiology of Retinal Protein"(ed.T.Hara)Yamada Science Foundation,Tokyo,Japan. 49-54 (1988)

  • [文献書誌] Masahiro Ariki: "Molecular Physiology of Retinal Proteins"(ed.T.Hara)Yamada Science Foundation,Tokyo,Japan. 355-356 (1988)

  • [文献書誌] Yasushi Imamoto: "Molecular Physiology of Retinal Proteins"(ed.T.Hara)Yamada Science Foundation,Tokyo,Japan. 361-362 (1988)

  • [文献書誌] Osamu Kuwata: "Molecular Physiology of Retinal Proteins"(ed.T.Hara)Yamada Science Foundation,Tokyo,Japan. 379-380 (1988)

  • [文献書誌] Hideki Kandori: "Molecular Physiology of Retinal Proteins"(ed.T.Hara)Yamada Science Foundation,Tokyo,Japan. 383-384 (1988)

  • [文献書誌] Yoshinori Shichida: "Molecular Physiology of Retinal Proteins"(ed.T.Hara)Yamada Science Foundation,Tokyo,Japan. 385-386 (1988)

  • [文献書誌] Yoshitaka Fukada: "Molecular Physiology of Retinal Proteins"(ed.T.Hara)Yamada Science Foundation,Tokyo,Japan. 397-398 (1988)

  • [文献書誌] Toyoaki Akino: "Molecular Physiology of Retinal Proteins"(ed.T.Hara)Yamada Science Foundation,Tokyo,Japan. 399-400 (1988)

  • [文献書誌] Masayoshi Ito: J.Nutr.Sci.Vitaminol.34. 641-646 (1988)

  • [文献書誌] Hideki Kandori: Photochem.Photobiol.49. 181-184 (1989)

  • [文献書誌] Yoshinori Shichida: Exp.Eye Res.48. 281-293 (1989)

  • [文献書誌] Yoshitaka Fukada: J.Biol.Chem.(1989)

  • [文献書誌] Hideki Kandori: Biochemistry.

  • [文献書誌] 七田芳則: "LUMINIS" 中西印刷, 20-26 (1988)

  • [文献書誌] 吉澤透: "新生理科学体系 第9巻感覚の生理学 V.視物質" 医学書院, 76-89 (1989)

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公開日: 1990-03-19   更新日: 2016-04-21  

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