研究課題/領域番号 |
63300001
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
横田 ちゑ 千葉大学, 教養部, 教授 (00009359)
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研究分担者 |
長田 謙一 千葉大学, 教育学部, 助教授 (20109151)
内村 博信 千葉大学, 教養学部, 講師 (30193907)
三宅 晶子 千葉大学, 教養学部, 助教授 (50157608)
山内 正平 千葉大学, 教養学部, 助教授 (60092110)
田中 健夫 千葉大学, 教養部, 助教授 (20092067)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | 都市文学 / バウハウス / モダニズム / アヴァンギャルド / キャバレ-文化 / ワイマル共和国 / ブレヒト / シェ-ンベルク |
研究概要 |
研究会その他の議論を通して、19世紀末から20世紀初頭にかけての文化的状況を、精神史、文学、建築、デザイン等の視点からとらえ、その構造的な変革と生活者の意識変化、感覚変容の問題を考察した。具体的な研究内容を、主要なキ-ワ-ドを付けて、以下に記す。 1.(ベルリン文学)、大衆レベルでの文化現象のディテ-ルを、ベルリン都市文学の分析を通じて渉猟した。都市文化におけるカウンタ-カルチャ-が大衆文化の動向に大きな力を及ぼし、大衆小説、大衆雑誌ばかりでなく、新しい「キャバレ-」文化の興隆などが、時代意識の陰の部分とかかわりながら、近代市民文化に対する大衆文化を築き上げた。 2.(ユングの深層心理学)このような大衆文化の動向は、フロイトからユングへと連なる心理学の成果とも重なる。無意識の世界に科学が入り込み、自然科学的認識が新しい文化形成の刺激になっていったと同時に、科学的認識では到達しえない非合理的世界への関心も高まった。 3.(バウハウスとモダニズム)自然科学的認識と工学的技術の進歩が大衆化時代の新しい生活商品を大量生産ラインに乗せると同時に、新しい生産にふさわしいデザインや機能がさまざまの商品に求められることになり、美的感覚が機能と結びつく。 4.(カフカとシオニズム)その一方で、自然科学主義的な合理主義では片づかない精神や魂の根元的な問題への関心は、20年代のアヴァンギャルド芸術に顕著に認められる他に、たとえばユダヤ問題などにも微妙に関わっている。本研究では、カフカの文学を通して、反ユダヤ主義的民族主義とシオニズム的民族主義とのふたつの民族主義の間で同化ユダヤ人たちが西欧近代世界のなかで行き場を失っていくことが論議された。この問題は30年代のナチズムにおいて一層深刻なものとなる。
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