研究課題/領域番号 |
63300010
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 明治学院大学 (1989-1990) 大阪大学 (1988) |
研究代表者 |
武者小路 公秀 明治学院大学, 国際学部, 教授 (80053536)
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研究分担者 |
小倉 充夫 上智大学, 外国語学部, 教授 (40055322)
黒沢 満 新潟大学, 法学部, 教授 (10111709)
平野 健一郎 東京大学, 教養学部, 教授 (40012463)
杉江 栄一 中京大学, 法学部, 教授 (10109233)
福田 歓一 明治学院大学, 国際学部, 教授 (10009780)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1990
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キーワード | 福祉国家 / 政府開発援助 / 人権 / 軍縮 / 環境 / 労働移動 / 国際組識 / NGO |
研究概要 |
本研究プロジェクトの目的は、1990年代の世界に顕在化しつつある地球規模の危機(核戦争の危機、大量貧困、生態系の破壊、人権の抑圧など)に鑑み、人類の福祉を実現するための国際社会のパラダイムを考案することにあった。福祉は「社会生活における人びとの十全的な人間発展の諸条件の完備)と捉えられるが、西欧近代国の史的展開の帰結としての福祉国家は、原則的に閉じられた主権国家の枠内で福祉を追求するために、人類の福祉実現主体としては多くの面で限界を有している。また、福祉国家のなかで生み出された福祉理念それ自体にも、歴史的な限界がある。国家福祉の成立は、富の再配分における市場の限界を克服する一方で、ともすれば相互扶助や自力更生といった共同体福祉の側面を衰弱される効果をもち、実存的人間の十全な発展を阻害する一面をすら伴うことがあった。福祉国際社会パラダイムの構築は、それゆえ、実質的正義の確立(なかんずく最少弱者の固有の幸福追求の承認)をめざす倫理的要請に対応すると同時に、福祉の理念を国際社会の現状のなかで再構成するという文明史的意義を担うものといえよう。 われわれは、このような問題意識に立ち、国際政治学、国際法、国際社会学の各専門領域の知見をもとにして、福祉国際社会を指向する新たな制度化の動きやアイデンティティの形成を示す具体的事例として12項目(外務省公電漏洩事件、全欧安全協力会論、EC統合と外国人問題、移民労働者と国家、グロ-バル・フェミニズム、開発援助の法的基盤、日本外交におけるOSA、環境保護における国際協力、太平洋島嶼国における内発的安保障、軍縮と非核地帯設置、非軍事的世界秩序、日本の平和憲法モデル)を取り上げて、個別研究を進め、福祉国際社会形成の諸条件について学際的検討を加えた。
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