研究課題/領域番号 |
63301007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 健一 東京大学, 文学部, 教授 (80011328)
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研究分担者 |
増成 隆士 筑波大学, 現代学, 助教授 (60011376)
増渕 宗一 日本女子大学, 文学部, 教授 (70060663)
坂部 忠 東京大学, 文学部, 教授 (30012503)
金田 晋 広島大学総合科学部, 教授 (50034591)
細井 雄介 聖心女子大学, 文学部, 教授 (20054562)
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キーワード | 美的経験 / 現代美学 / 判断 / 時間と空間 / 視覚性 / 美的真 / 生成文法 / バウムガルテン |
研究概要 |
当初の研究代表者であった藤田の海外出張のため、代表者は交代したが、研究方針はそのまま踏襲し、各研究分担者の研究報告を柱とする研究会を重ねてきた。振部はカントの行った美的判断の分析に注目し、そこに生成文法の考えを適用し、カントの令題の根底にある「深層構造」を抽出することを試みた。増渕はヴェルフリンやマルンハイムを手掛りとして、造形芸術作品の要素が生み出す心理的効果について考察した。また増成は、言語的な概念表現に対する視覚的表現の特徴を明らかにすることに努め、その長所を強調した。佐々木は1988年の国際美学会議でつアメリカのS,フィツシャ-の研究発表を糸口として、美的経験という主題そのものに対して提起されている疑念を紹介し、反省を提起した。戸澤は現代フランスの哲学者E・レヴィナスの思想全体を概観しつつ、特に音楽の体験を念頭に置きつつ、その時間論を考察した。西村は美的真もしくは藝術的真の概念の批判を展開した、すなわち、これらの概念は美的経験を他の現実経験と同じ性質のものとするとし、その批判を通して西村は美的経験の独自性を強調した、松尾はハウムかルテンの美学の中心概念である「理性類似者」をとり上げ、原典の検討に基づいて従来の解釈を一々批判し、その思想の真相に迫った。このあと。3月には久保の研究報告が予定されている。いまだ、総括する段階ではないが美的経験の実態正分析する偏差から始まって、新しい角度や方法でこの主題を捉えようとするもの、更には美的経験の問題そのものを反省するものまで、我々の研究は多面的多居的に美的経験の問題を捉えている。
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