研究課題/領域番号 |
63301016
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
心理学
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研究機関 | 白百合女子大学 |
研究代表者 |
東 洋 白百合女子大学, 文学部, 教授 (60012548)
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研究分担者 |
西野 泰広 豊橋短期大学, 助教授 (60120531)
氏家 達夫 福島大学, 教育学部, 助教授 (00168684)
田島 信元 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (90002295)
青柳 肇 早稲田大学, 人間科学部, 専任講師 (20121056)
繁多 進 白百合女子大学, 文学部, 教授 (10018038)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | 個性化教育 / 内面的動機づけ / アタッチメントパタ-ン / 自己制御機能 / 達成動機 / 幼児画 / 母子相互交渉 / マイクロ分析 |
研究概要 |
昭和63年度〜平成元年度の成果をまとめると、以下のとおりである。 (1)日本型個性化教育の理論的検討については、良い子アィデンティティといった内面的動機づけに基づくプロトタイプ・スクリフトを提供することにより、自己教育力を高め、自らの志しに基づくことが必要であることがわかった。しかし、こうした個性化教育の実践は、わが国の保育者にとって大変困難なことであることも、数々の検討をとおしてわかってきた。 (2)例えば、自己制御機能の発達についても、わが国では自己抑制面の発達が自己主張面に比べ著しく早いことがわかった。この理由としては、わが国の教育文化の中に、従順な子は良い子という認識があり、しかもそのために保育者は自己抑制的な子を従順だと捉え、また逆に従順にさせるためにより自己抑制的にさせるというreciprocalな関係が見出された。一方、自己主張面はわが国ではわがままさと見られ、特別な教育的配慮が必要なことがわかった。 (3)しかし、乳児期の安定したアタッチメントは、幼児後期になっても子どもの積極的な対人関係の拡大をもたらし、その結果幼児期中期以降になると、頭の中では自己主張的なTPOが理解され出すことがわかった。 (4)そこで、幼児画を検討した結果、時代とともに表現スタイルに自由で明るさが認められるようになってきたが、逆にこうすべきだという保育者の意図が強く働いてきたことも確認できた。そして、自由な意志の発露の下では、個性豊かな表現パタ-ンが出現することがわかった。 (5)つまり、現場の保育行動を分析した結果、必ずしも個性化教育を推進しようとしていないことがわかった。
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