研究課題
[(1)知的能力の老化プロセスの解明]にあたり、初年度に開発した検査(方法)を、さらに本年度においても多数の被験者に実施した。2年度目の被験者を加え、最終的に、その対象の数は、65歳以上の高齢者300人余、20歳〜65歳までの成人300人余、合計650人余のデ-タが収集された。そのデ-タについて、問題別、領域別、男女別に詳細な分析をおこない、知的能力の老化プロセスについて明らかにした。具体的には、全体の傾向として、10代後半から50代後半にかけては、知的能力に差はみられず、56歳〜65歳の間、また、76歳〜85歳の間にそれぞれ1つの区切り、すなわち、顕著な知的能力の衰退がみられた。また、衰退の程度は、問題の性質に応じて、領域に応じて異なることも明らかにされた。さらに、各世代別に知的能力の構造について検討したところ、16歳〜55歳、56歳〜75歳、76歳〜95歳の3年齢群ではそれぞれ異なった構造を持つことが明らかにされた。[(2)老化防止のための具体的方略]をさぐるために、縦断的デ-タを基にして、知的能力が落ちている群(衰退群)と維持している群(維持群)の2群を設定し、その2群間の個人的経験要因の差を検討した。その結果、[個人的生活の安定性][新聞][TV]などの要因が重要であることが明らかにされた。さらに、本年度は本研究の最終年度であるため、これまでの一連の研究を、「老化プロセスの解明」、「老化防止に関する具体的方略」という観点から、方法、結果等、研究全般について総括した。
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