研究課題/領域番号 |
63301032
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研究機関 | 千葉県立衛生短期大学 |
研究代表者 |
福岡 安則 千葉県立衛生短期大学, 助教授 (80149244)
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研究分担者 |
福留 範昭 広島修道大学, 人文学部, 助教授 (60192308)
亘 明志 広島修道大学, 人文学部, 助教授 (60158681)
江嶋 修作 広島修道大学, 人文学部, 教授 (70079268)
野口 道彦 大阪市立大学, 同和問題研究室, 助教授 (00116170)
八木 正 金沢大学, 教養部, 教授 (80022101)
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キーワード | 在日韓国・朝鮮人 / 民族差別 / 同化 / エスニシティ / エスニック・アイデンティティ / 人権問題 / 異文化理解 / 内なる国際化 |
研究概要 |
われわれの研究のねらいは、在日韓国・朝鮮人をめぐる問題を、差別問題の視角から社会学的に究明することにある。当然、問題は2つの側面をもつ。1つは、"差別される側"の在日韓国・朝鮮人の存在と意識のありようの分析。いま1つは、"差別する側"に位置する日本人の意識のありようの分析。 まず、在日韓国・朝鮮人のサイドについては、関東・名古屋・関西・広島をフィールドに、主に若者たちからのライフ・ヒストリーの聞き取り調査を精力的におこなった。たとえば、次のようなことが明らかとなった。 (1)幼少時はまわりの人間(=日本人たち)となにも変わらない自分として育ちながら、小・中学校時代に「在日韓国・朝鮮人」であることにマイナスのイメージを持たされ、葛藤状況に陥る「在日」の三世が多いこと。 (2)三世ともなると、日本文化への同化の度合が高いが、同時に、なんらかの形での民族性も保持しており、その両者のあいだでの葛藤を、若者たちはアイデンティティ・クライシスとして体験していること。 (3)現在でもなお、就職・結婚などの面で民族差別の壁にぶつかる若者が多いこと。 (4)在日韓国・朝鮮人のなかでも、日本人と韓国・朝鮮人との混血者や、日本国籍取得者のなかに、精神的な葛藤が強い状況に置かれている者が多いこと、等々。 日本人サイドの意識については、大学性のレポートやグループ討議を素材に分析をおこなった。部落差別問題の場合と比較してのべれば、 (1)あまりにも問題自体に対して「無知」な若者が多いこと。 (2)同時に、"チョンはこわい"などといった「偏見」をあからさまに表明する若者が多いこと。 (3)身近なところに「在日」の若者がいた場合のふるまい方について、「意識せずに、普通に接する」という態度が支配的だが、これは差別的関係を克服しうる関係性とはなりえないこと、等々。
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