研究課題
研究資料の集積:3教育機関より聴力レベル90dB以上、1歳より指導を開始した1〜6歳の聴覚障害児について、その聴覚活用の事例を50例集積した。記録は、母親又は担当教師である。これらについてその主体的な活動のあり方について分析を行った。神経学的検討:聴覚障害があっても聴覚の発達の筋道は健聴児と同様であることが認められた。従って一定のステップを踏んだ聴能訓練は不要である。また聴覚が活用されるには大脳の機能としてのselective attentionの機能が大きく関係することが明かになった。心理学的検討:子供は本来的に能動的な働きかけを行い、調和のとれた関係を求めるものである。その働きかけを助長していく周囲の配慮が重要である。徳に子供は“関係"の中で学習していくが、その関係は母親等の子供に対する共感・共有の感情の表現によって作られ、それによって子供も主体性を獲得していくことが明かになった。また精神発達を基礎として聴覚的な発達も解釈できることが認められた。教育学的検討:主体的な聴覚学習が子供に獲得されていくには、以下のことが配慮されることが大切であることが明かにされた。音を言語化・動作化してやる、母子で音をきく時の共感の感情、子供への問いかけ方の拡がり、先行経験と関連させる、楽しさを保持する、音をきく時、きく場所を習慣化する、仲間意識を大切にする等である。オ-ジオロジ-的検討:入力保障が第一の要件であり、FM補聴器の効果が検証された。各種の音源を用意し、それに対する反応を長期的に強化していく。騒音下でのきかせ方にも配慮が必要である。
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