研究課題
この総合研究では、清朝治下の諸民族と清朝との関係を全時代にわたり総合的に解明し、今日の問題の理解に資することを目的とした。この為、満洲族班では清朝初期における満洲族の国際意識とその後の他民族に対する態度の変化、および満洲族の文化変容の問題をとりあげ、言語、習慣、国際意識の変化について考究した。これについては乾隆年間に到るまでは或程度の知見を得たが、その後の時代についても尚考察をつづけるつもりである。蒙古班では清朝の対蒙古政策から近年の内蒙古自治運動に到る歴史的経過を考察したほか、元朝と他民族との関係についても新たな知見を得た。漢族班では漢族に対する清朝の政策および辛亥革命時期の排満思想の淵源の問題を柱として考察した。朝鮮族班は朝鮮国に対する清朝の政策と朝鮮国の対応、および朝鮮における慕華思想について考察した。東南アジア民族班では清朝時代の華僑の研究を通して、清朝と少数民族の問題を考察した。以上の毎く研究をおこなったが、清朝中期のモンゴル関係は資料が充分でなく、チベット語資料にまでふみこまねばならないため、言語資料等の面で制約があり、所期の目的を充分には達成し得ない状態にある。その他の研究班においては、当初計画の目的に添い、研究を継続中である。昭和63年度には『中国方志叢書』湖南省、第1期、第2期および『中国史学叢書』第1・2・3・4輯を購入した。この二書はともに中国清代・明代研究の基本的文献で本総合研究を推進するための必須の書である。平成元年度においても、研究計画・方法について変化はない。本年度(昭和63年)の反省にもとづき研究を進め、各班ごとに研究成果をもちより研究集会をおこない、清朝対外民族政策の実体を全体的に把握することにつとめる。
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